出生前診断にはいくつかの種類がありますので、どのような検査を受けたらよいのか迷っている方も多いのではないでしょうか。この記事では出生前診断の種類や検査方法の特徴などをご紹介します。
出生前診断に対する理解を深めることで、ご自身の希望に沿った検査方法を見つけやすくなり、検査への不安も和らげることができますので、是非参考にしてみてください。
出生前診断は公的医療保険が適用されない『自由診療』です。
検査費用などは全額自己負担となりますので、高額となる可能性がございます。
また、各医療機関によって費用に含まれる内容が異なりますので、事前にご確認ください。
参考:国税庁「医療費を支払ったとき」より
この記事でわかること!
出生前診断の種類
出生前診断とは生まれる前の赤ちゃん(胎児)の発育や異常の有無などを調べる検査です。
出生前診断には、妊婦検診で行う超音波(エコー)で「形態異常」を調べる検査と、妊婦健診で行う超音波検査ではわからない「染色体異常」を調べる2種類の検査があります。
それぞれの検査は、診断結果によって胎児の異常の有無が確定できる「確定的検査」と、異常の可能性だけを診断する「非確定的検査」に分類されます。
妊娠週数によって実施できる検査が異なりますので、予め調べてそれぞれの検査について調べ、自分がどの検査を必要とするか確認しておいた方が良いでしょう。
染色体検査の種類 | 実施時期(妊娠週数) | 検査方法 | |
非確定的検査 | NIPT(新型出生前診) | 9〜10週以降 | 採血 |
コンバインド検査 | 11〜13週 | 採血と超音波 | |
母体血清マーカー検査(クアトロテスト) | 15〜18週 | 採血 | |
確定的検査 | 羊水検査 | 15週以降 | 羊水の採取 |
絨毛検査 | 11〜14週 | 絨毛の採取 |
出生前診断・非確定的検査(形態異常)
超音波装置の技術は年々進化し、胎児の画像をかなり鮮明に見ることができるようになりました。また胎児の写真を高画質で写し出すことができますので、以前では見つからなかった形態異常なども発見できるようになっています。
一方で妊婦さんが希望しない場合でも妊婦健診で赤ちゃんの形態異常や先天性疾患が見つかることもあり、妊娠中に知りたくなかった情報を不意に知ってしまうケースもあります。事前に知りたいこと、知りたくないことについては、事前に担当医に相談しておくと良いでしょう。
超音波検査で確認することの一つとして、胎児の首の後ろにある皮膚の膨らみのことをNT(=nuchal translucency)と呼びますが、ここが通常の胎児に比べて厚くなっているときは、染色体異常や心奇形、ダウン症候群などの可能性があるとされています。しかし医師が見た目で判断する超音波検査ではそれを確定診断とすることはできませんので確定するには、確定検査である羊水検査や絨毛検査をする必要があります。
超音波検査でわかる項目には下記のようなものがあります。
- 胎児の成長、大きさ
- 心拍、胎動の有無
- 血液の流れ
- 羊水量
胎児の向きや体勢によって正確に診断できないこともあるため超音波検査は複数回にわけて検査されます。
出生前診断・非確定的検査(染色体異常)
染色体異常を検査する出生前診断のうち非確定的検査には、「NIPT(新型出生前診断)」「コンバインド検査」「母体血清マーカー検査(クアトロテスト)」の3つがあります。
検査名 | 検査でわかる異常 | ||
NIPT(新型出生前診断) | ダウン症候群 13トリソミー 18トリソミー |
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コンバインド検査 | ダウン症候群 18トリソミー |
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クアトロテスト(母体血清マーカー検査) | 神経管閉鎖不全 ダウン症候群 18トリソミー |
染色体の数の異常が原因で起こる疾患は複数ありますが、最も多いのは下記の3つです。
ダウン症候群(21トリソミー):
染色体疾患の中で最も多くみられ、低い鼻やつり目など外的特徴があります。消化器疾患のほか、目や耳に合併症が起こる頻度が高いとされていて運動機能や知的発達は個人差があります。
エドワーズ症候群(18トリソミー):
全身に重い合併症をともないやすく、成長障害、運動機能や知的発達などの発達に重度の遅れが見られます。
パトー症候群(13トリソミー):
胎児の時から心疾患など全身に数多くの合併症があります。口唇口蓋裂や多指、小眼球などの外的特徴があります。
NIPT(新型出生前診断)
妊娠9〜15週以降に受けることができる検査です。
NIPTは高い精度で染色体異常の有無を診断することができる検査で、国内での開始時期も2013年と比較的新しいため、新型出生前診断とも呼ばれています。
妊娠9週目以降の妊婦さんの血液には赤ちゃん由来のDNAの断片が含まれます。NIPTでは、妊婦さんから採取した血液を検査して、そこに含まれる赤ちゃん由来のDNA断片に染色体異常がないかどうかを診断することで赤ちゃんの異常を判定します。
DNAの断片からは、ダウン症候群や13トリソミー、18トリソミーの有無を調べることができ、非確定的検査ではあるものの高いの精度で結果を出すことができます。
染色体異常が陽性になった場合には、確定的検査である絨毛検査や羊水検査を受けて、診断結果を確定させます。
NIPTは精度の高さや妊娠9週目から検査ができる点、さらに採血のみで検査が済み流産や死産のリスクがないというメリットがあります。一方で他の検査と比べて取り扱っている施設がまだ少ないことと、検査費用がやや高額という一面もあります。
コンバインド検査
妊娠11〜13週目に受けることができる検査です。
コンバインド検査は超音波検査と妊婦さんから採血した血液の検査を組み合わせた方法で、赤ちゃんにダウン症候群や21トリソミーの染色体異常がないかどうかを診断することができる検査です。
超音波検査では、赤ちゃんの首の後ろの厚みを測定し、その厚さからダウン症候群の可能性を判定しますが赤ちゃんの体勢や位置によってはわかりにくい場合もあるため、コンバインド検査では、超音波検査に加え妊婦さんから採取した血液を検査し、ホルモンやたんぱく質の値を調べて、母体の年齢、妊娠週数などの要素に超音波検査の結果を含めて、赤ちゃんの染色体異常の確率を診断します。
このようにコンバインド検査は超音波装置と採血で検査することができますので、流産や死産のリスクはありません。
母体血清マーカー検査(クアトロテスト)
妊娠15〜20週目に受けることができる検査です。
母体血清マーカー検査(クアトロテスト)では妊婦さんから採取した血液から4つの成分を測定します。4つの成分とはα-フェトプロテイン、hCG(free-β hCG)、エストリオール(uE3)、インヒビンAです。この検査によって、赤ちゃんに神経管閉鎖障害、ダウン症候群、18トリソミーの染色体異常がないかどうかを判定します。
診断には母体年齢や妊娠週数などの要素を加えて、染色体異常の確率を基準となる値(カットオフ値)を元にして算出します。カットオフ値とは35歳の妊婦さんからダウン症候群の赤ちゃんが産まれる確率を1/295として定義し、検査結果とカットオフ値を比較して、赤ちゃんの染色体異常の確率が計算されます。1/295よりも確率が高ければスクリーンポジティブ(陽性)、1/295未満の場合はスクリーンネガティブ(陰性)というように判断されるのです。
たとえばカットオフ値で確率を求めると295人の赤ちゃんの中でダウン症候群が産まれる人数は1人ですが、検査結果が1/100(スクリーンネガティブ)となった場合には、100人に1人の割合でダウン症候群が産まれると解釈します。
つまり母体血清マーカー検査の結果では一般的な確率(0〜100%)ではなく、カットオフ値を基準として高いのか低いのかという診断結果になります。
母体血清マーカー検査の結果次第で、確定的診断である羊水検査や絨毛検査を受けるかどうかを判断します。
出生前診断の種類・確定的検査(染色体異常)
染色体異常を検査する出生前診断のうち確定的検査は、「羊水検査」「絨毛検査」の2つです。妊婦さんの羊水や絨毛を直接採取して検査することからその精度は高く、診断結果による赤ちゃんの染色体異常の有無は確定となります。
なおそれぞれの検査には、検査を受けることで発生する流産・死産のリスクがあります。
それぞれの検査結果の精度と流産・死産のリスクは下記の通りです。
検査の種類 | 検査でわかる異常 | 結果の精度 | 流産・死産のリスク |
羊水検査 | 染色体異常全般 | 100% | 0.2〜0.3% |
絨毛検査 | 染色体異常全般 | 100% | 0.3〜1% |
参考:厚生労働省 NIPT等の出生前検査に関する専門委員会報告書
羊水検査
妊娠15週以降に行える検査です。
妊婦さんの子宮内の羊水には、赤ちゃんの細胞が含まれています。この羊水を検査するために超音波装置で子宮内の赤ちゃんの位置を確認しながら、妊婦さんのお腹に針を刺して羊水を採取します。
その後、採取した羊水を培養して検査し、ダウン症候群や13トリソミー、18トリソミーなどの染色体異常の有無を診断するのです。羊水の培養期間を含めて、検査の結果が報告されるまでには2週間以上の日数が必要です。
より早く結果を知りたい方のために、施設によっては「FISH法」という検査で先に13番、18番、21番(ダウン症候群)、性染色体に限定して異常の有無を迅速に検査し、約1週間で仮の診断結果を出すところもあります。
羊水検査は妊婦さんのお腹に針を刺して実施される検査のため、検査を受けることによって流産・死産のリスクが0.2〜0.3%あるとされています。
絨毛(じゅうもう)検査
妊娠11〜14週目に行える検査です。
絨毛とは妊婦さんの胎盤のひとつで、赤ちゃんは絨毛を通じて母親からの酸素や栄養分を吸収しています。絨毛の細胞も赤ちゃんの細胞もひとつの受精卵からできていますので、絨毛細胞を採取して検査することで、赤ちゃんの染色体異常の有無を調べることができるのです。
羊水検査と同じく超音波装置を使って赤ちゃんの位置を確認しながら、妊婦さんのお腹に針を刺して絨毛を採取します。その他、腟から子宮に向けてチューブを入れて絨毛を採取する「経頸管法」という方法もあります。
その後、採取した絨毛を培養して検査し、ダウン症候群や13トリソミー、18トリソミーなどの染色体異常の有無を診断するのです。絨毛の培養期間を含めて、検査の結果が報告されるまでには2週間以上の日数が必要です。
絨毛検査でも検査を受けることによる流産・死産のリスクがあるのですが、その確率は羊水検査よりもやや高い0.3〜1%とされています。
参考:厚生労働省 NIPT等の出生前検査に関する専門委員会報告書
出生前診断の価格
出生前診断は検査費用の他、カウンセリング費用や追加の検査項目などがオプションで加わる場合もありますので、医療機関によって費用は異なりますが相場は下記のとおりです。
検査の種類 | 新型出生前診断 (NIPT) |
コンバインド検査 | 母体血清マーカー検査 | 羊水検査 | 絨毛検査 |
費用の相場 | 20万円前後 | 3〜5万円 | 2〜3万円 | 10〜20万円 | 10〜20万円 |
また支払い方法についてもクレジット払いや分割払いの可否など、医療機関によって異なりますので、予め調べておくと計画も立てやすくなります。
NIPT(新型出生前診断)が受けられるクリニック
ここではNIPT(出生前診断)が受けられるクリニックをご紹介します。ぜひご参考にしてみてください。 出生前診断の検査フロー STEP1 STEP2 STEP3 ※出生前診断は血液検査やエコー検査があります。
診断のながれは以下のようになります。
※カウンセリングと検査は、医療機関によって同じ日に行う場合と別日に行う場合があります。
※確定的検査は羊水検査や絨毛検査となります。
NIPT平石クリニック
妊娠6週からの早期NIPT検査が可能で、さらに9週以降に追加費用なしでもう一度検査ができるため、妊娠発覚後の不安な気持ちを早く取り除くことができます。全国に提携クリニックがあり、最短2日でメールにて検査結果を受け取ることができます。
検査結果が陽性の場合、羊水検査費用は全額負担してくれます。医療機関の指定は無いので希望の医療機関にて確定検査を受けることができます。
認定遺伝カウンセラーが在籍しており、検査前の不安な気持ちの解消や、陽性の結果がでた時も無料で相談することができます。
クリニック名 | NIPT平石クリニック |
診療時間 | 10:00~19:00 (不定休) |
費用(税込)/ 検査項目 |
A 基本検査 198,000円 B 全染色体検査 231,000円 C 微小欠失検査 253,000円 |
結果が出るまでの期間 | 最短2日(採血を行った地域や時間帯、検査プランによって変動) |
予約方法 | WEB・電話予約(完全予約制) |
検査条件 | ・妊娠6週目以降 ・年齢制限なし ・一人受診可能 |
住所・アクセス | 〒150-0021 東京都渋谷区恵比寿西1-10-7 MMSビル6階 恵比寿駅より徒歩1分 |
問い合わせ先 | TEL:0120-220-944 |
クリニックのサポート | ・全国に提携クリニックあり ・陽性だった場合、その後の羊水検査の費用を全額負担 絨毛検査や微小欠失の羊水検査も全額負担 ・認定遺伝カウンセラーが在籍 |
出典:NIPT平石クリニック
ミネルバクリニック
臨床遺伝専門医である院長自らが医療用の機器等を使用し検査を行います。
検査結果の通知までは約10日〜14日ほどかかります。ミネルバクリニックに来院が難しい場合は、オンラインでの受診も対応しています。診察(カウンセリング)はオンライン、採血は全国各地の当院連携医療機関で行うことが可能です。
NIPTで陽性になった方には全員、院長の携帯電話番号をお伝えして24時間連絡が取れるようにしており、また羊水検査の一部費用(15万円まで)を医院が負担する、フォロー・サポート体制があります。
父親精子の突然変異(デノボ)による胎児疾患をNIPTで検査できるのも特徴的です。
月、木、金、土、日曜日 スーパーNIPTベーシック 176,000円 スーパーNIPTジーンプラス 236,500円 コンプリートNIPTデノボプラス 440,000円 マイページシステム利用料 550円 TEL:03-3478-3768 出典:ミネルバクリニック
クリニック名
ミネルバクリニック
診療時間
10:00~14:00 (最終受付13:30)
16:00~20:00 (最終受付19:30)
休診日:火、水曜
費用(税込)/ 検査項目
・13,18,21トリソミー検査
・性染色体検査
・性別判定
・13,18,21トリソミー検査
・性染色体検査
・微小欠失検査(4種)
・100種の遺伝子検査
・13,18,21トリソミー検査
・性染色体検査
・微小欠失検査(9種)
・カリオセブン
・デノボ
検査結果作成費用 3,300円
互助会費用 2,200円 ※NIPTを受ける方全員必須
結果が出るまでの期間
10日〜14日
予約方法
WEBフォーム・電話予約(完全予約制)
検査条件
・妊娠6週目以降
・年齢制限なし
・一人受診可能
住所・アクセス
〒107-0061
東京都港区北青山2丁目7-25 神宮外苑ビル 1号館2階
外苑前駅より徒歩1分
青山一丁目駅より徒歩9分
問い合わせ先
NIPT専門ダイヤル:03-3408-3768
クリニックのサポート
・オンラインでの受診対応
・相談は無料
・陽性診断後の羊水検査を15万円まで負担
DNA先端医療株式会社
DNA先端医療株式会社はNIPTの検査、運営会社で、全国に提携クリニックがあります。アクセス・土日祝・診療時間など希望に応じて提携クリニックを選び検査をすることができます。
認定遺伝カウンセラーと無料で話せる電話相談窓口があり、検査結果の見方について詳しく知りたい、万が一陽性反応が出た場合の質問などを気軽に相談できます。
全国の採血医療機関のデータを一括管理しており、検査はどこまで進んでいるか、結果はいつ届くかなどの問い合わせは9:00~22:00年中無休で応対可能です。
A 基本検査 198,000円 B 全染色体検査 231,000円 C 微小欠失検査 253,000円 ・妊娠9週目以降 ・全国に提携クリニックあり 出典:DNA先端医療株式会社
提供会社名
DNA先端医療株式会社
診療時間
各提携医療機関に準ずる
費用(税込)
・13,18,21トリソミー検査
・性染色体検査
・性別判定
・13,18,21トリソミー検査
・1番~22番トリソミー検査
・性染色体検査
・性別判定
・13,18,21トリソミー検査
・1番~22番トリソミー検査
・性染色体検査
・微小欠失検査
・性別判定
結果が出るまでの期間
最短2日(採血を行った地域や時間帯、検査プランによって変動)
予約方法
WEB・電話予約
検査条件
・単胎または双胎妊娠の方
・年齢制限なし
住所・アクセス
提携医療機関のHPをご確認ください。
問い合わせ先
TEL:0120-330-987
クリニックのサポート
・認定遺伝カウンセラーと無料で話せる電話相談窓口あり
・全国のNIPT提供医療機関で監査が可能
・陽性だった場合、その後の羊水検査の費用を全額負担
まとめ
出生前診断を受けるかどうかに悩んでいる方に対して、それぞれの検査の特徴や費用の相場について説明しました。どの妊婦さんにとっても赤ちゃんの健康状態は気になるものであり、不安になることもあるでしょう。
検査の方法、結果の精度など、出生前診断への理解を深めてパートナーや家族の方ともよく話し合いながら、最後はご自身が納得できる形で検査を受けるかどうかを決断することが大切です。