巷で囁かれている重曹シャンプーに関する話には、「白髪がなくなる・減る」というものもあります。
しかし、実際に期待できる効果は、白髪の改善ではありません。
この記事では、重曹シャンプーのメリットやデメリット、白髪への効果に関する噂と注意点についてご紹介します。
頭皮環境に悩んでいる方や白髪が気になっている方などは、是非参考にしてみてください。
この記事でわかること!
重曹についておさらい
重曹(ベーキングソーダ、炭酸水素ナトリウム)は弱アルカリ性の人体に無害な物質で、料理や掃除、医薬品といった様々な場面で活用されています。
重曹には、水や油などの物質を混ざりやすくさせる(乳化)作用や研磨作用があるので、水垢や油汚れを落とす際に役立ちます。また、弱アルカリの性質と消臭作用を活用して、酸性の臭いを中和・消臭させたり、脱臭目的で使用したりすることもできます。
特に重曹の消臭作用や乳化、中和・分解といった効果は、重曹シャンプーにおいて重要な役割を担っています。
なお重曹は、食用や工業用、医薬品用など用途別に製造販売されているので、目的に合ったものを使用することが大切です。
重曹シャンプーとは何?
重曹の基本的な作用や特徴を把握した後は、重曹シャンプーについてご紹介します。
重曹を配合させた手作りのシャンプー
重曹シャンプーとは、お湯に重曹を混ぜた手作りシャンプーのことです。
前段でも触れたように重曹は、油汚れを落としたり消臭作用や研磨作用があったりと、頭皮の洗浄にも活用しやすい性質を持っています。特に、油を乳化させる作用は、頭皮や毛穴の皮脂汚れを落とす際に役立ちます。
また、皮脂汚れは酸性なので、弱アルカリ性の重曹と反応すると中和されて洗い流しやすくなります。
ただし、洗髪の際に重曹シャンプーのみを使用すると、弱アルカリ性によって髪にダメージが蓄積されてしまいます。コンディショナーやリンスを併用することが、ダメージ対策として欠かせないポイントの1つです。
重曹シャンプーが合う人
重曹シャンプーは、特に頭皮や毛穴の皮脂汚れや頭皮のべたつきが気になっている方に合っていると言えるでしょう。
重曹シャンプーの主な特徴は、中和作用による皮脂汚れの除去です。頭皮がべたつくほど皮脂汚れの付着している状態なら、重曹シャンプーによって汚れをスムーズに洗い落とせます。また、頭皮の臭いが気になっている場合も、改善できる可能性があります。
一方、乾燥肌や敏感肌の方は、頭皮の炎症や頭皮環境の悪化につながる恐れがあります。
そのため、低刺激シャンプーを活用したり頭皮ケアを行うと良いでしょう。
他にも重曹シャンプーを使用した後に頭皮や髪に違和感を覚える、頭皮がヒリヒリするといった場合は、使用を中止するようにしてください。
重曹シャンプーで白髪がなくなるという噂は嘘?
結論からすると、重曹シャンプーで白髪がなくなるという噂は「嘘」と言えます。
髪色を作り出す組織はメラノサイトという細胞です。
メラノサイトは、髪が生える際にメラニン色素を作り出し、髪の毛に色を付けていきます。
しかし、様々な原因でメラノサイトの動きが弱まると、メラニン色素の働きに影響を与えてしまい、白髪の増加につながります。
メラノサイトの働きを弱める要素は、主に以下の通りです。
・加齢
・遺伝
・生活習慣の乱れ
中でも遺伝や加齢による白髪は、重曹シャンプーを含め、あらゆる方法でも進行を止められません。
ただし、ストレスや生活習慣の乱れなどが原因の場合は、頭皮環境を清潔に保ったり、栄養バランスを意識した生活を心掛けたりなど、複数の対策で改善できる可能性があります。
しかし、重曹シャンプーで確実に白髪をなくす根拠がないため、改善効果については嘘と考えた方が妥当でしょう。
重曹シャンプーの使用で期待される効果
重曹シャンプーは白髪の改善にはつながりません。ただし、頭皮環境に対しては期待できる効果があります。
それでは、重曹シャンプーの使用で期待される頭皮への効果を説明します。
皮脂汚れを洗い流しやすくなる
既に説明したように、重曹シャンプーには油脂を乳化させる作用が含まれていて、皮脂汚れを頭皮から浮かせて洗い流しやすくしてくれます。また、重曹自体は細かい粒子で構成されているため、頭皮の毛穴に詰まった汚れを取り除くことができます。
しかし、重曹シャンプーでなくとも市販されているシャンプーで皮脂汚れを落とせます。皮脂の分泌が多い方は重曹シャンプーだけでなく、市販されているシャンプーを活用しながら皮脂汚れをしっかり落とすよう心掛けてみてはいかがでしょうか。
頭皮の臭いを抑えられる
重曹の乳化作用や消臭作用で、頭皮の臭いを抑えられる可能性があります。
頭皮の臭いは、頭皮に蓄積した皮脂汚れやフケを好む雑菌の繁殖や汗などが原因です。
重曹シャンプーで頭皮や毛穴に詰まった皮脂汚れを洗い落とせば、雑菌の繁殖を抑えられることに加え、臭いの防止につながります。
また、消臭作用が頭皮の臭いを更に抑えてくれることも期待できます。
ただし、重曹シャンプーで頭皮の臭いを確実に抑えられる訳ではないので、市販のシャンプーを活用したり洗髪の方法を見直したりしながら、頭皮環境を整えてみてはいかがでしょうか。
頭皮の状態によっては血行促進を期待できる
毛穴に皮脂汚れなどが詰まっていると、毛細血管の血行を阻害し、頭皮環境の悪化や抜け毛・薄毛リスクにつながってしまいます。
また、頭皮環境の悪化による炎症でかゆみなどの症状が出てしまうと、頭皮を掻きむしって傷付けてしまう可能性もあります。
重曹シャンプーの研磨作用や中和・分解作用などを利用して頭皮の皮脂汚れを落とせば、毛穴周辺の血行を改善できる可能性があります。
頭皮がべたついていたりフケが多かったりする時は、重曹シャンプーなどによる頭皮ケアを始めてみることも大切です。
重曹シャンプーのデメリット
続いては、重曹シャンプーの主なデメリットについて解説します。
敏感肌の場合は頭皮への刺激が強い
重曹は弱アルカリ性で、刺激の強い物質ではありません。
ただし、敏感肌やアレルギー体質の方の場合は、重曹シャンプーの成分でも強く反応しやすいため、使用を控えた方が良いと言えます。
このような方は、アミノ酸系などの肌への刺激が低いシャンプーを使用するようにしてみてください。
洗浄成分の強い高級アルコール系は、肌への刺激が強い傾向があります。
アミノ酸系の低刺激シャンプーであれば、肌への刺激を抑えつつホコリや汗、皮脂汚れなどを適度に洗い流せます。
皮脂を落とし過ぎてしまう可能性がある
重曹に含まれる研磨作用などは、頭皮に付着した汚れを落とすのに役立ちます。
しかし、頭皮を強く擦りすぎたり多めの重曹シャンプーで洗ったりしてしまうと、頭皮に必要な皮脂や潤いまで落としてしまう可能性があります。
また乾燥肌の方は、頭皮に必要な皮脂が元々不足しているので、重曹シャンプーの使用で更に頭皮の乾燥を進行させてしまう恐れがあります。
そのため、低刺激シャンプーを使用すると共に、頭皮用ローションなどで潤いを与えてみてください。
髪に対してダメージを与えてしまうことも
重曹シャンプーだけでは髪に付着したホコリや汚れを落としきれません。
また、研磨作用などによって髪にダメージを与えてしまう可能性があります。
重曹シャンプーは、あくまで頭皮や毛穴に詰まった皮脂汚れを落としやすくする効果が期待できるものです。
髪の毛に付着した汚れを落としたい時は、予洗いを丁寧に行い、通常のシャンプーの使用がおすすめです。
またコンディショナーで髪にツヤを与えたり、トリートメントなどで栄養補給を行ったりするのが、髪の健康状態を保つ上で重要なポイントです。
重曹シャンプーの作り方
重曹シャンプーを作る際は、重曹大さじ1杯、洗面器もしくは500㎖〜1ℓ程度の容器を用意しておきましょう。
また、重曹以外の成分が含まれていないベーキングソーダを使用するのが、重曹シャンプー作りで気を付けるポイントです。
ベーキングパウダーなどベーキングソーダ―以外の製品は、炭酸水素ナトリウムの他にも様々な成分が配合されているため、重曹シャンプーには不向きです。
炭酸水素ナトリウム99%以上のベーキングソーダを選びましょう。
材料を用意した後は、洗面器に1リットル程度のぬるま湯(38〜40℃程度)と重曹大さじ1杯を混ぜ合わせます。
重曹が全て溶ければ完成です。
重曹シャンプーで洗髪する際の流れ
この章では、重曹シャンプーで洗髪する方法について分かりやすくご紹介していきます。
丁寧にブラッシングを行う
洗髪の前は、丁寧にブラッシングを行いましょう。
ブラッシングをすることで、髪に付着したホコリの除去だけでなく、キューティクルを整えたり、頭皮に残った抜け毛を取り除くことができます。
キューティクルを整えておけば、シャンプー時の摩擦によるダメージを抑えられます。
また、抜け落ちた毛と通常の髪が絡まるのを防ぐこともできます。
ブラッシングの際は、顔から後頭部の方向へ毛先から少しずつ梳いていきます。
毛先の絡まりをほどいたら、中間・根元といった順に梳いていくのが基本です。
38℃程度のぬるま湯で予洗い
ブラッシングを行った後は、38〜40℃のぬるま湯で予洗いします。
予洗いでは頭皮や髪に付着した皮脂汚れや汗、ホコリなどを一定程度洗い落とせるので、シャンプーの使用量を増やさなくとも洗浄効果を高められます。
頭皮を洗う際は、2分程度かけて頭皮全体を濡らしていくことがポイントです。
また、指の腹を使いながら頭皮マッサージのようなイメージで、頭全体を揉み込みながら汚れを洗い落としていきましょう。
事前に作った重曹シャンプーを少しずつ手に取り洗う
ブラッシングと予洗いが完了した後は、事前に作っておいた重曹シャンプーを少しずつ手に取り、頭皮に付けながら指の腹で丁寧に洗います。
予洗いの時と同様に、マッサージのようなイメージで揉み込みながら頭皮を洗います。
なお重曹シャンプーは、1回の洗髪で使い切ることが通常のシャンプーとの大きな違いです。
作った全ての重曹シャンプーを使い切った後は、38〜40℃のお湯で汚れと重曹を丁寧に洗い流します。
頭皮に重曹が少しでも残っているとベタつきなどのトラブルにつながるため、生え際や耳の裏側など隅々まですすぎましょう。
最後は、忘れずにコンディショナーやトリートメントを行ってみてください。
重曹シャンプーを使用する際の注意点
重曹シャンプーの使用に際しては、いくつか注意点があります。
事前に把握した上で、慎重に使用を検討てみてください。
それでは、重曹シャンプーの注意点についてご説明します。
週に1回程度の頻度から始める
毎日重曹シャンプーを行ったり、いつも使用しているシャンプーから重曹シャンプーへ完全に切り替えたりすると、頭皮のかゆみやフケといったトラブルにつながる可能性があります。
そのため、1週間に1回程度から始めるのが、頭皮トラブルを避ける上で重要な点です。
また、重曹シャンプーが合うかどうかは人それぞれです。
重曹シャンプーを使用してみて頭皮にヒリヒリ感などの違和感を覚えた場合は、直ちに使用を中止し、これまで通りの方法で洗浄および頭皮ケアで頭皮環境を整えてみてください。
他にも頭皮に炎症や傷のある時は、状態を悪化させないためにも重曹シャンプーの使用は控えた方が良いでしょう。
熱湯で重曹を溶かさないようにする
重曹シャンプーを作る際は、熱湯で溶かさないよう注意しましょう。
重曹を60℃以上の熱湯で溶かした場合、弱アルカリ性から強アルカリ性へと変わります。
強アルカリ性の物質は皮膚を溶かすなどの性質を持っているので、頭皮を損傷させる恐れがあります。
そのため、重曹シャンプーを作る際は必ずぬるま湯を使用しましょう。
またシャンプーの際、頭皮に少しでも痛みや違和感が出た場合はすぐに使用を中止しましょう。
重曹の粒子がしっかり溶けるまで混ぜる
粉の重曹は研磨作用の強すぎる状態なので、そのまま使用すると頭皮を傷付けることがあります。
そのため重曹を溶かす時は、全ての粉が粒子状から液体に変わるまで丁寧に混ぜましょう。
なお、重曹を全て溶かしきった状態でも研磨作用は残っているため、頭皮へ使用する際は強く擦らないよう注意が必要です。
衛生面の関係から長期保存しない
重曹シャンプーが残った場合は、保存せずその場で廃棄してください。
手作りの重曹シャンプーは市販されているシャンプーと異なり、防腐剤などが配合されていません。
そのため、作り置きして容器に保管した場合、雑菌が繁殖するリスクが生じます。
重曹シャンプーは使用の都度作るようにし、残った分は毎回捨てるようにしましょう。
まとめ
重曹シャンプーには、白髪をなくす効果はありません。しかし、一般的には頭皮や毛穴に付着した皮脂汚れを洗い落とす効果が期待されています。
同様の作用は市販のシャンプーにもあり、重曹シャンプーによる髪や頭皮へのダメージリスクも伴うことから、使用に際しては慎重に検討するようにしてみてください。