清潔にしているのに頭皮がかゆい、頭皮のかゆみが治まらないなどの原因は、乾燥やヘアケア用品によるかぶれなどが考えられます。場合によっては皮膚疾患の可能性もあるため、症状が続くようであれば注意が必要です。この記事では、頭皮がかゆい原因と、自分でできる対処法、病院を受診すべきケースなどを解説します。
女医によるファミリークリニック ■診療科:小児科・内科・皮膚科・アレルギー科 ■所属学会 ■経歴 テレビ朝日、羽鳥慎一のモーニングショーやフジテレビ Live NEWS イット!などに出演、ラジオ、テレビ、WEBなど幅広く医療情報を提供している。
院長 大井美恵子
URL:https://www.familyclinic-hiroshima.com/
日本小児科学会、日本小児神経学会
日本リウマチ学会、日本抗加齢医学会、広島県小児科医会
高濃度ビタミンC点滴療法学会、日本アレルギー学会
日本小児皮膚科学会、日本小児科医会
赤ちゃん成育ネットワーク、点滴療法研究会
広島大学附属幼小中高、金沢医科大学卒業
土谷総合病院にて初期研修、広島市民病院小児科勤務を経て姉妹で女医によるファミリークリニックを開業。
小児科内科皮膚科アレルギー科の診察を行う。
この記事でわかること!
頭皮のかゆみの原因
頭皮がかゆくなる主な原因には、次の5つが考えられます。
間違ったシャンプー
シャンプー方法が正しくない場合、頭皮のかゆみを引き起こすことがあります。
洗髪不足・すすぎ残し
頭皮は体の中でも皮脂の分泌量が多い部位であるため、洗髪やすすぎが不十分な場合は毛穴が詰まりやすくなります。その結果、炎症を起こしてかゆみが発生することがあります。
洗い過ぎ
1日に何度もシャンプーをすると、頭皮に必要な油分や水分まで失い、乾燥とかゆみの原因になります。髪がパサついている、パラパラとしたフケが付着しているなどの場合は、頭皮が乾燥している可能性があります。
お湯が適温でない
シャンプー時のお湯が熱すぎると頭皮に必要な皮脂まで洗い落としてしまい、乾燥によるかゆみを招きます。反対に、お湯がぬるすぎる場合は頭皮の汚れを十分に落としきれず、皮脂の詰まりなどから炎症を起こして、かゆみの症状が現れることがあります。
ヘアケア用品や薬剤によるかぶれ
シャンプーや整髪料などのヘアケア用品に含まれる成分のほか、ヘアカラーやパーマ剤などの薬剤が原因となって皮膚がアレルギー反応を起こすと、頭皮がかゆくなることがあります。さらに頭皮がかぶれるとかゆみが増して徐々に赤くなり、ブツブツや水ぶくれができることもあります。
ストレス
精神的なストレスが蓄積すると、ホルモンバランスが崩れます。皮脂の過剰分泌や血行の悪化に繋がり、かゆみの原因になります。
女性ホルモンの乱れ
女性ホルモンのひとつである「エストロゲン」には肌に潤いを与える働きがありますが、更年期を迎えると分泌量が減り始めます。その結果、頭皮の乾燥が進んで角質に水分を保てなくなり、皮膚のバリア機能が低下することでかゆみが出やすくなります。
汗・汚れ・紫外線による刺激
汗や皮脂汚れ、紫外線による刺激で頭皮にかゆみが発生します。特に強い紫外線を浴びると頭皮に炎症が起こり、かゆみやヒリヒリ感などが現れやすくなります。
頭皮のかゆみを伴う病気
頭皮のかゆみがなかなか治まらない場合、以下のような皮膚疾患が原因の可能性もあります。
頭ジラミ症
アタマジラミという昆虫が頭皮に寄生して吸血することで、激しいかゆみや湿疹などを引き起こす病気です。集団生活をする子どもに多く見られ、プールや温泉、サウナのほか、感染者と枕や帽子、タオルなどを共有することで感染します。子どもを抱っこしたり、添い寝をして大人にうつることもあります。
汗疹(あせも)
汗疹(あせも)とは、汗が出る「汗管」が大量の汗やホコリによって詰まり、排出できずに溜まった汗が皮膚の中で刺激となって湿疹・かゆみが出る皮膚疾患です。
汗をかきやすい人だけでなく、皮膚のバリア機能が低く肌トラブルが起きやすい人にも発症することがあります。
接触性皮膚炎(かぶれ)
接触性皮膚炎は「かぶれ」とも呼ばれ、特定の物質に触れた際の刺激により皮膚が炎症を起こした状態です。強いかゆみや湿疹が生じるのが特徴で、多くの場合は体の皮膚に見られますが、合わないシャンプーやすすぎ残しによって頭皮に生じることもあります。
脂漏性皮膚炎
脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)は、皮脂の過剰分泌や「マラセチア」というカビの異常繁殖などが原因でカサカサした湿疹ができる皮膚疾患です。かゆみや脂っぽいフケを伴うこともあります。
頭皮は体の中でも特に皮脂の分泌量が多いため、ほかの部位に比べて脂漏性皮膚炎を発症しやすい傾向があります。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、強いかゆみやかさぶたなどの炎症が生じるアレルギー疾患です。主な原因として皮膚のバリア機能の低下や体質、外部要因(ハウスダスト・汗・食べ物)などが挙げられます。
アトピー性皮膚炎による湿疹は、腕や脚の関節にできやすい傾向がありますが、頭皮に見られることもあります。
乾癬(かんせん)
皮膚の角質層が炎症を起こし、白い粉を伴う赤い発疹が全身に現れる皮膚疾患が乾癬(かんせん)です。強いかゆみがあり、何度も再発を繰り返すことが特徴です。原因ははっきりと解明されていませんが、遺伝的素因に様々な環境因子が加わることで発症すると考えられています。
頭皮のかゆみを和らげる方法
病気以外の原因で頭皮のかゆみが発生している場合は、セルフケアで症状を和らげられるケースがあります。ここでは、頭皮のかゆみを自分で改善する方法を紹介します。
1日1回正しく洗髪する
シャンプーは1日1回、正しい方法で夜に行いましょう。お湯の適温は38〜40度です。
まずはじめに、ブラッシングをして髪に付着した汚れやホコリを落としてからぬるま湯で予洗いし、手の平に取ったシャンプーを泡立てて頭皮に付けます。洗髪の際は指の腹を使って円を描くようにマッサージし、ゴシゴシこすらないように注意してください。
すすぎは洗髪よりも長い時間をかけ、特に後頭部や髪の生え際、耳の裏などのすすぎ残しが多い部分は、丁寧に洗い流してください。
自分に合うシャンプーを使う
シャンプーは、「脂性肌」「乾燥肌」など自分の肌質に合ったものを選びましょう。それでも症状が改善しない場合は、かゆみを和らげる効果が期待できる「ミコナゾール硝酸塩」や「ピロクトンオラミン」などの成分を配合したシャンプーに変えるといいかもしれません。
頭皮用の保湿剤を使う
乾燥が原因のかゆみの場合、頭皮用のローションやオイルを使うことで症状が和らぐことがあります。頭皮をマッサージしながら保湿剤を塗ると、血行が促進されより高い効果が期待できるでしょう。
市販薬を使う
セルフケアで頭皮のかゆみが治まらない場合は、ドラッグストアなどで購入できる市販薬も検討しましょう。軟膏やクリームタイプは、頭皮まで届きにくいので、ローションタイプが向いています。既に頭皮が炎症を起こしている場合は症状が悪化するおそれもあるため、薬剤師に相談してから購入するようにしましょう。
頭皮のかゆみが治らないときは皮膚科を受診しよう
どのような方法を試しても一向に症状が良くならない場合は、皮膚疾患が原因の可能性があります。悪化させないためにも、皮膚科に相談しましょう。
頭皮のかゆみを放置するとフケや薄毛に繋がることも
頭皮のかゆみをそのまま放置しておくと、頭皮環境が悪化してフケやかさぶたが生じることがあります。また頭髪に十分な栄養が行き届かなくなることで、薄毛や抜け毛に繋がる可能性もあります。このような状況を防ぐには、専門家に診てもらい症状に合った治療を受けることが大切です。
まとめ
頭皮のかゆみは様々な原因が考えられます。軽度であれば、この記事で紹介したセルフケアを試すことで改善することもありますが、場合によっては皮膚疾患が関係している可能性もあります。症状が続くようであれば、自己判断せずに、1日も早く適切な治療を受けるようにすると良いでしょう。