「健康的な髪の毛は、どんな状態なんだろう」「髪の毛はpHが影響するらしいけど、パーマやカラーは大丈夫かな」など、髪の毛について疑問に思っていませんか。
この記事では髪の毛とpHの関係や髪が痛む原因などを解説し、さらに髪のおすすめケアも紹介します。
本記事を参考にpHを意識したケアを行って、パーマやカラーリングを楽しみましょう。
この記事でわかること!
pH(PotentialHydrogen)とは「水の性質を示す単位」のひとつ
pH(Potential Hydrgen:ペーハー)とは水素イオン濃度の略称で、水の性質を酸性・中性・アルカリ性に分類する尺度の一つです。
pHの値は0〜14まであり、pH7を中性としています。pHの値が7より小さいと酸性、大きいとアルカリ性となります。また、pH0に近づくほど酸性度が強くなり、逆にpH14に近づくとアルカリ性が強くなりますなるのです。
次にpHを4つの段階に分け、それぞれの特徴を解説します。
- pH0~3|酸性
- pH3~6|弱酸性
- pH6~8|中性
- pH8~11|弱アルカリ性
一つずつ詳しく見ていきます。
pH0~3|酸性
強い酸性は、鼻をさすほどの刺激臭が特徴的です。金属を腐食させるほか、皮膚に付くと火傷やけどやかぶれでひりひりと痛むなど、人体にも強い影響を与えます。
強い酸性のものが皮膚についた場合、工業用の薬品などは流水で30分は洗い流す必要があります。
家庭用は工業用に比べて成分は弱いのですが、皮膚がかぶれるのでこちらも水で十分に洗い流しましょう。そのあとは、火傷やけどと同様の処置を行います。
pH3~6|弱酸性
pH3〜6は、弱酸性に分類されます。
人間の肌は外部の刺激から守るために皮脂膜に覆われていていますが、その皮脂膜のpHは4.5〜6.0の弱酸性ですとなっています。この値が、肌の潤いとバリア機能を上げるために適したpHです。
汗をかいてしまったあとや、石鹸を使った洗顔、手洗いで肌が一時的にアルカリに傾きますが、皮脂膜の働きで短時間で元の弱酸性に戻してくれます。
肌の乾燥などのスキントラブルが起こると、皮脂膜の弱酸性に戻す機能が低下します。その結果、肌のpHが中性からアルカリ性寄りになり、炎症や湿疹の原因となってしまいますしまうのです。
pH6~8|中性
pH=7のとき、中性または科学的中性点といいます。pH=7は、酸性でもアルカリ性でもない状態です。当然ながら、青色・赤色のどのリトマス試験紙でも変色しません。
中性の代表的なものは、水道水(pH6.5〜7.0)牛乳(pH6.7)などがあげられます。
人の体液はpH約7.4となっているため、水道水は中性の人体に悪影響を与えない中性付近に保たれていまするのです。
pH8~11|弱アルカリ性
弱アルカリ性は、洗浄力に優れています。例えば、皮脂の汚れや油分を落としてくれる石鹸は、弱アルカリ性です。
弱酸性の皮脂や汗などの汚れは、弱アルカリに溶けて水となじみやすくなるため、洗い流せるようになります。
また、弱アルカリ性はタンパク質の汚れを分解する効果があり、古い角質などもきれいに取り除いてくれます。
pH11~14|アルカリ性
アルカリ性は酸性の汚れを溶かすため、洗剤などによく利用されています。例えば、塩素系洗剤などがアルカリ性の洗剤です。
アルカリ濃度が高いほど汚れを強力に落としてくれますが、タンパク質も分解するため取り扱いには注意が必要です。
高濃度のアルカリが人体に触れると、皮膚が溶ける・黒く変色する・指紋が消える・失明などの危険性があります。
そのため、皮膚についた場合はすぐに大量の水で洗い流し、少しでも異常を感じたら直ちに皮膚科を受診してください。
髪の毛とpHの関係性
髪は人の肌と同じように、弱酸性が理想とされています。
以下で、髪の毛とPHがどのように関係してくるのかを詳しく見ていきましょう。
- 健康的な髪の毛のpHは4.5~5.5(弱酸性)
- パーマ・カラー・ブリーチなどはアルカリ性
- アルカリ性に傾くとギシギシのダメージ髪に
髪を健康な状態に保つためにも、髪とpHの関係は知っておきたい知識です。
健康的な髪の毛のpHは4.5~5.5(弱酸性)
髪の毛のpHは「4.5〜5.5(弱酸性)」が理想とされ、この値は等電点(とうでんてん)といわれています。
等電点よりpHが低くなる(酸性に傾く)と、キューティクルが閉じて毛髪全体が固くなり、手触りが悪くなるのが特徴です。
一方、等電点よりpHが高くなる(アルカリに傾く)と、キューティクルが開くため水分や毛髪補修の有用成分などが浸透しやすくなります。
しかし、キューティクルが開いた状態は毛髪内の水分やタンパク質成分が抜けやすい状態ともいえるため、髪にダメージを与える原因になります。
パーマ・カラー・ブリーチなどはアルカリ性
pHがアルカリだとキューティクルが開き、水分や毛髪に有用な成分が浸透しやすくなります。その性質を利用しているのが、パーマ剤やカラー剤といった溶剤です。
パーマ剤やカラー剤の効果を上げるためには、毛髪を軟化させ溶剤の浸透をよくする必要があります。そのために、アルカリ剤が配合されているのです。
アルカリ性に傾くとギシギシのダメージ髪に
髪にパーマ剤やカラー剤などが残っていると、髪が傷んでしまいます。
パーマ剤やカラー剤に含まれるアルカリ剤によってキューティクルが開いた状態になり、髪の中の栄養素が出て行ってしまうのが原因の一つです。
また、髪に残った残留アルカリは、水道水のカルシウムや金属イオンなどと結合して酸化します。これも髪にダメージを与える要因になります。
その結果、髪の毛から油分や水分が抜け、ギシギシとしたダメージ髪になってしまいます。
ダメージ髪のおすすめケア4選
痛んだ髪はすぐには元に戻りません。毎日の丁寧なケアが必要です。
ダメージ髪に悩む方は、以下で紹介するケアを試してみてください。
- トリートメントで栄養を与える
- 傷みが酷い部分はカットする
- アミノ酸系シャンプーの使用
- 洗髪後しっかり乾かす
トリートメントで栄養を与える
トリートメントは髪の内部に栄養を届け、髪の状態を整えてくれます。
髪は紫外線やドライヤーの熱、ブラッシングなどで日常的にダメージを受けています。
そのようなダメージを受けた髪に、トリートメントで油分や水分などの補給を行いバランス調整すれば、髪の状態改善が期待できるでしょう。
そして、トリートメント後は目の粗いくしを使いましょう。濡れた髪に目の細かいくしを使うと、キューティクルを傷つけてしまいます。
また、トリートメントのあとは成分が浸透するまでそのままにしますが、10分以上は放置しないでください。長い時間髪にトリートメントを付けておくと、髪のベタつきやヘアカラーの色が落ちる原因になります。
トリートメントを髪に浸透させたら、しっかりと洗い流しましょう。トリートメントが頭皮や髪に残っていると、頭皮のスキントラブルや髪のベタつきなどが起こります。
傷みが酷い部分はカットする
髪のダメージが大きい場合は、傷んだ部分のカットも検討してみてください。高価なシャンプーやトリートメントでケアするよりも、カットする方が早くきれいになる場合があります。
カットする長さはダメージの度合いによりますが、枝毛が気になる程度であれば、3cm〜5cmのカットで十分ですが髪のダメージがひどい場合は、短めの髪にカットして、ヘアスタイルとともに気分を変えるのもおすすめです。
アミノ酸系シャンプーの使用
シャンプーでダメージケアもできるアミノ酸系を検討してみましょう。シャンプーを変えるだけですが、自宅でも簡単にできて効果のあるケア方法です。
シャンプーを選ぶ際は、洗浄成分に注意してください。洗浄力が強すぎると、髪に必要な油分も取り除いてしまいます。特に硫酸系やオレフィン系の洗浄成分は、洗浄力が強すぎるので避けた方が良いでしょう。
一方アミノ酸系は、髪や頭髪に負担をかけず保湿効果が期待できるため、摩擦によるダメージも減らしてくれます。
洗髪後はしっかり乾かす
髪を洗った後にしっかり乾かさないと、雑菌が増殖して頭皮トラブルや悪臭の原因となります。
また、髪の毛は乾いた瞬間に形が決まります。髪型は髪が濡れるとリセットされ、乾くとその形状が記憶されるのです。
そのため、髪型が決まった状態で乾かせば、気に入った髪型で決まってくれます。分け目がついたり髪が跳ねたりしてしまう方は、髪を洗ってすぐドライヤーすることをおすすめします
pHに関するよくある質問
ここまで髪の毛とpHの関係について解説しましたが、まだまだ疑問に思う部分もあるでしょう。以下に、pHに関するよくある質問を載せました。
- 健康な髪の毛は何性?
- アルカリ性に傾いた髪の特徴は?
- ブリーチ剤は何性?
- カラー剤は何性?
- パーマ剤は何性?
- 残留アルカリはどんな影響がある?
- ヘアカラーのアルカリ除去とは?
健康な髪の毛は何性?
髪の毛はpH4.5から5.5の弱酸性が理想とされています。この値を等電点と言いますが、等電点より酸性に傾くとキューティクルが閉じ、アルカリ性に傾くと開きます。
キューティクルが開くことなく、また閉じることもない整った状態でいられるpH4.5〜5.5が、健康的な髪の毛のpHといえるでしょう。
アルカリ性に傾いた髪の特徴は?
髪がアルカリ性に傾くと、キューティクルが開いてしまいます。キューティクルが開いた状態だと、髪の毛に必要な成分や油分が流れ出やすくなります。
その結果、水分の少ないギシギシとした髪になるのです。
ブリーチ剤は何性?
ブリーチ剤の主な成分は過硫酸塩や過酸化水素、アンモニアです。アンモニアは強いアルカリ性を示すのでブリーチ剤はアルカリ性になります。
アンモニアの強いアルカリで髪の毛のキューティクルが開き、内部に浸透した過酸化水素がメラニンと反応して、髪の色を変えるのです。
また、この化学反応の過程ではさまざまな酸化反応がおこるため、毛髪にダメージを与えてしまいます。
カラー剤は何性?
カラー剤には酸性とアルカリ性の2種類があります。
酸性のカラー剤は表面に薬剤を塗っているだけなので、光が当たらないと染まっているのかわからず、色持ちもよくありません。
対してアルカリ性のカラー剤は、キューティクルを開く仕組みになっているため、薬剤が染み込みます。髪の毛の内部まで浸透するので、しっかり綺麗に染まるのがアルカリ性のカラー剤の特徴です。
しかし、キューティクルが開いたままの状態だと栄養分や水分、油分も流れ出やすくなるため、潤いやハリのないパサパサな髪になる場合があります。
パーマ剤は何性?
パーマ剤もカラー剤同様、酸性とアルカリ性の種類があります。
酸性パーマはアルカリ性パーマに比べ、髪のボリュームを和らげる効果やまっすぐにする効果は弱くなりますが、手触りやツヤ感はよくなります。
一般的なパーマは、アルカリ性の薬剤を使用したパーマです。アルカリ性の働きで髪のキューティクルを開き、髪の中までパーマ剤を浸透させます。
カラー剤と同様にキューティクルが開いた状態になるため、水分や栄養などが流れ出てしまいパサパサの髪になる可能性があります。
残留アルカリはどんな影響がある?
パーマやカラーをしたあとにアルカリ剤が頭皮に残ると、頭皮や髪に悪い影響がでてきます。パーマやカラーのあとに、頭皮にただれのような症状が出る場合は残留アルカリが原因かもしれません。
また、アルカリの影響による髪のpH上昇でキューティクルが開いた状態になるため、脂質や水分など必要な栄養分が流れ出します。
そのため、髪のハリやコシが失われて、切れ毛や枝毛の原因にもなるのです。
ヘアカラーのアルカリ除去とは?
アルカリ除去とは、ヘアカラー後に髪に残ったアルカリ性の物質を取り除くケアです。
アルカリ性を帯びた物質は、髪にダメージを与えてしまいます。そのため、専用の薬剤やシャンプーなどでアルカリを取り除かないといけません。
アルカリ除去には専用の薬剤や、髪の補修効果が期待できるヘマチン・レブリン酸などが入ったシャンプー・トリートメントを使います。
アルカリ除去は美容室でも行ってくれますが、シャンプーやトリートメントなどを使用して自宅でも行えます。
まとめ
髪の毛の理想pHは4.5〜5.5の弱酸性です。これより、酸性・アルカリ性どちらに傾いても、髪の毛は良い状態を保てません。
パーマやカラーなどは、アルカリ性の性質を利用して髪の毛の内部まで溶剤を染み込ませます。そのため、髪は理想のpHを保てなくなり、ダメージを負ってしまうのです。
健康な髪の毛を維持するためには、髪とpHの関係を理解して適切なケアが必要です。パーマ剤やカラー剤の影響を理解して、おしゃれを楽しみましょう。