空気が乾燥する季節に起こりやすい静電気。服を着替えたり、ブラッシングしただけでせっかくセットした髪が広がり、顔にまとわりついてしまいますよね。
今回は、髪の毛に静電気が発生する原因と、髪の毛の静電気対策を10個ご紹介します。静電気で悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
この記事でわかること!
静電気とは:電気のバランスが崩れた状態
「静電気」とは、金属やプラスチックなど、物質の中にある電荷のバランスが崩れることによって生じる現象です。
物質には小さな粒子である「電子」が存在しており、プラスとマイナスの電荷がバランスの取れた状態を保っています。
しかし、摩擦や接触などにより物質から電子が移動して、別の物質に余分な電子が集まってしまうことがあるのです。片方はプラスの電荷を帯びた状態になり、もう片方はマイナスの電荷を帯びた状態になります。このように電荷のバランスが悪い状態のことを「静電気」と呼びます。
静電気を帯びた物質はどうにかしてバランスが良い状態に戻ろうとします。マイナスに帯電した側のマイナスの電子が、プラス側の物質に戻ろうとするのです。
人間の身体はプラスに帯電しやすい性質を持っています。そのため、マイナスに帯びた物質に触れると、マイナスの電気が放出(放電)され、電流が流れる仕組みです。
髪の毛に静電気が発生する3つの理由
静電気は物質の電気のバランスが崩れることにより発生する現象ですが、季節や服の素材によっても静電気が起こる頻度が違います。この記事では、日常生活で静電気が起こる原因を解説します。
乾燥|湿度が40%未満で発生しやすい
湿度が40%未満の場合、静電気が起きやすいと言われています。
空気が乾燥していると、物質に帯電された電気が放電されにくくなるため、身体だけではなく髪にも電気が溜まってしまうのです。
季節でいうと寒さの沁みる冬に特に静電気を経験しているのではないでしょうか。もともと乾燥している部屋で暖房を使用することにより、さらに空気が乾燥してしまいます。そのため、湿度が40%未満の環境になってしまい、静電気が起こりやすくなっているのです。
逆に、夏に静電気を感じにくいのは、湿度の高さや、暑さからの汗により、自然と静電気を帯びにくい環境になっているからだと言われています。
素材|服の素材が帯電してしまう
麻や綿だけではなく、化学繊維を使用した服を持っている方も多いでしょう。ウールやナイロンはプラスの電気を帯びやすく、アクリルやポリエステルはマイナスの電気を帯びやすい特徴があります。片側の電気を帯びた服を着ることにより摩擦が起こり、静電気が発生してしまうのです。
また、ポリエステル+ウールといったプラスとマイナスで異なる電気を帯びやすい素材の服を重ねて着ると、さらに静電気が発生してしまいます。
冬場の寒さを凌ぐために暖かい服を着たくなりますが、静電気を回避するためには、まずは素材を確認してから着るようにしてみてください。
髪質|細いと先端から大きく放電しやすい
静電気は、細い部分の先端に集まりやすい特徴があります。そのため、細毛や軟毛の髪は静電気が起こりやすいと言われています。
また、くせ毛の髪は髪の毛と髪の毛の間に隙間ができ、乾燥してしまうため、静電気が起こりやすくなります。
なお、髪が太く硬い髪質の方も摩擦や乾燥により静電気が起きるので、注意しましょう。
【デメリット】髪の毛の静電気で起こる3つの悪影響
環境や服の素材、髪質で髪の毛に静電気が起こりやすくなりますが、髪の毛に静電気が起こってしまった場合、どのような悪影響があるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
ほこりや花粉、雑菌などが付着しやすくなる
帯電した頭皮には、ほこりや花粉、雑菌などが付着しやすくなり、頭皮トラブルに繋がる可能性があります。
ほこりや花粉といった汚れに付着している様々な病原菌が、乾燥して剥がれた頭皮の表面や毛穴に入り込み、頭皮トラブルを引き起こしてしまいます。また、放置してしまうと抜け毛や薄毛の原因にもなります。
キューティクルが剥がれやすくなる
キューティクルとは、髪の表面を5〜6枚が重なる層になって覆っているたんぱく質です。髪の水分やたんぱく質の流出を防ぐ役目をしていますが、静電気によりキューティクルが剥がれやすくなります。
しかし、キューティクルが剥がれてしまうと髪に含まれる水分やたんぱく質が流出してしまい、ダメージを受けやすくなってしまうのです。そのまま進行すると、髪が抜けやすくなったり、パサついた毛先になったりと、髪自体が弱くなってしまいます。
髪の毛の乾燥やダメージが広がる
静電気によりキューティクルが剥がれると、髪の毛から水分がなくなり、乾燥した髪の毛になってしまいます。剥がれたキューティクルが隣の髪の毛にも摩擦を与えてしまい、次第に広がっていきます。
毛先だけの静電気が、髪の毛全体を巻き込んでしまい、結果的にダメージヘアとなってしまうのです。日頃から髪の毛には摩擦を与えないように心がけましょう。
髪の毛の静電気に効果的な対策10選
この章では、髪の毛の静電気に効果的な対策を10個ご紹介します。短時間で実践できるものばかりですので、ぜひ参考にしてください。
髪や体の小まめな保湿
髪の毛や体を小まめに保湿することで、静電気が発生しにくくなります。
乾燥した髪は静電気が発生しやすくなりますが、水分を保持することで帯電を防ぐ効果があります。シャンプーは洗浄力が強いものだと、余分な脂分も取り除いてしまうため、アミノ酸系の保湿成分が配合されたシャンプーが良いでしょう。
また、シャンプーとリンスだけではなく、ヘアオイルを使用して髪を保湿しましょう。トリートメントやヘアマスクも髪の潤いに効果的です。
髪の毛と同様に、体も乾燥していると帯電しやすくなります。肌の乾燥が酷い方は、入浴後に保湿クリームを使って肌を保湿しましょう。寝る前や洗顔後などこまめに保湿することがポイントです。特に乾燥しやすい冬は念入りにケアをしましょう。
静電気が起きにくい素材の服を選ぶ
静電気が起きにくい素材の服を着ると、髪の毛と服の帯電をなるべく小さくすることができます。
綿やウールなどの天然繊維は、アクリルやポリエステルなどの合成繊維に比べて静電気が起きにくいです。天然繊維の素材は、湿気を吸収しやすく、水分が電荷を中和する役割があります。そのため、服に帯電しずらいので、静電気が起こりにくくなるのです。
他にも、静電気を逃がす役割がある天然素材の革製品や、帯電を低減する役割があるメタルフィルム素材などがあります。帯電防止加工素材を使用している衣類もあるため、静電気で悩んでいる方は、静電気が起きにくい素材の服を選ぶようにすると良いでしょう。
髪をセットする前に保湿する
髪をセットする前に保湿をすると、静電気が起きにくくなります。
髪の毛の静電気の主な原因は、髪の毛の乾燥です。乾燥した髪は、キューティクルが剥がれ、他の物体との摩擦が生じ、静電気が発生しやすくなります。
髪を乾燥させないために、保湿効果があるトリートメントを使用しましょう。髪に適切な水分が含まれていれば帯電しにくくなります。また、髪が保湿されていると、キューティクルが滑らかで整った状態を保つため、静電気の発生を低減することができるのです。
なお、保湿効果のあるトリートメントで保湿をしても、自然乾燥をしてしまうと髪の毛が乾燥してしまいます。保湿後は必ずドライヤーを使用しましょう。
部屋を加湿して乾燥を防ぐ
静電気を起こさないために、部屋を加湿し、湿度を上げましょう。
静電気は、物体同士の電荷のバランスが悪くなることが原因で起こる現象です。乾燥した空気では電荷が帯電しやすく、特にエアコンや暖房を利用することが多い冬の季節に静電気が起こりやすくなっています。
部屋の空気を乾燥させないために、加湿器を利用して湿度をコントロールしましょう。髪の毛の静電気は、湿度が40%以下の乾燥した環境で発生しやすいため、湿度が約50〜60%になるように調整してみてください。
加湿器がない場合は、カーテンに霧吹きスプレーをかけたり、濡れたバスタオルを吊るしてみましょう。部屋を加湿することで、髪の静電気を防ぐだけでなく、肌にも潤いを与えてくれます。
静電気の起きにくいヘアブラシを使う
髪をセットする時は、静電気が起きにくいヘアブラシを使ってみましょう。
髪とヘアブラシの間で生じる摩擦により髪が帯電し、静電気が起きやすくなります。プラスチックやポリエステル製のヘアブラシは、扱いやすく値段もお手頃ですが、静電気が起きやすい素材です。
静電気を起こさないように、木製や豚毛、猪毛が使われている天然毛などの自然素材のヘアブラシを使用しましょう。天然毛は油分が含まれているため、摩擦による静電気が起きにくいです。
また、帯電を和らげる効果がある導電性素材で作られたヘアブラシや、イオン技術を利用したヘアブラシもあります。髪の静電気が気になる方は、普段使用しているヘアブラシも見直してみましょう。
静電気を防止するスプレーや柔軟剤の使用
静電気を防ぐために、静電気防止スプレーや柔軟剤を使用するようにしましょう。
<静電気防止スプレー>
静電気防止スプレーを髪や衣服に吹きかけることで、既に溜まっている静電気を外に逃がす効果があります。静電気防止グッズの中でも、持ち歩きに便利で扱いやすいのが特徴です。髪や衣服だけでなく、家電にも使用できるスプレーも販売されています。
なお、直接吹きかけるタイプの他にもクロスに吹きかけてから使用するタイプもあるため、必ず使い方を確認してから使用するようにしましょう。
<柔軟剤>
衣服を洗う時に使用される柔軟剤ですが、香りを付けるだけでなく、静電気を防ぐ効果もあります。
静電気は、衣服と物質の摩擦により帯電することで起こる現象です。衣服を洗う時に柔軟剤を使用することで、衣服の繊維が滑らかに仕上がるため、摩擦が少なくなります。また、柔軟剤には繊維の表面に電気を外に逃がす層を作る成分が含まれているため、帯電しにくくなるのです。
なお、柔軟剤を過剰に使いすぎると衣服がべたつくことがあるため、使用量には気を付けましょう。
摩擦を減らすために髪をまとめる
髪をまとめるのも、髪の静電気を防ぐ方法のひとつです。
髪が長いと、体や服に触れるたびに摩擦が起こり、帯電しやすくなります。ヘアゴムで結べるくらいの長さであれば、髪をまとめ、極力摩擦を減らすようにしましょう。静電気を完全に取り除くことはできませんが、帯電による髪の広がりや顔へのまとわりを防ぐ効果があります。
髪が短い場合は、ヘアクリップやヘアバンドを使って髪を一定の形に保つようにしましょう。髪の乱れが起きないので、摩擦が起きにくくなります。
髪をまとめるヘアアクセサリーは、金属製よりも木製や天然素材のものの方が静電気が起きにくいです。また、静電気を取り除く素材を使用しているヘアアクセサリーも販売されています。静電気防止だけでなく、おしゃれとして使用することもできます。
ナイトキャップで髪を守る
ナイトキャップで髪をまとめることにより、寝ている間の髪の摩擦を防ぎ、静電気の発生を低減する効果があります。まとまりの良い髪をキープするため、寝ぐせで悩んでいる方にも効果的です。
ナイトキャップの種類には、シンプルなものから装飾がついているものなど色々ありますが、シルクやサテン、綿などの素材のものを選ぶようにすると髪との摩擦を防ぎ、静電気が起きにくくなります。
ナイトキャップは就寝時に被るものですが、寝ている間に外れてしまっては意味がありません。自分のサイズに合った物や、サイズを調整できるものを選ぶようにしましょう。
なお、ナイトキャップを使用していても、ヘアケアを怠っていると効果を感じられません。洗髪やドライヤーなど、ヘアケアを欠かさないようにしましょう。
髪が広がらないように乾かす
髪の乾かし方を変えることで静電気を防ぐことができます。
ドライヤーを使用する前に、髪を洗った後は、タオルドライをしっかり行いましょう。余分な水分を拭きとっておくと、ドライヤーの使用時間が短縮し、髪の摩擦を防ぐことができます。
ドライヤーで乾かす時は上から下へ温風を当てるようにしましょう。キューティクルが綺麗に整い、広がりにくくなります。ドライヤーの温度が高すぎたり、風力が強すぎると、髪に摩擦が起きやすくなるため、低く設定するようにしましょう。髪に近づきすぎない程度の距離でまんべんなく乾かすことがポイントです。また、最後の仕上げに冷風を使うと、キューティクルが締まり、潤いやツヤを出す効果が期待できます。
なお、自然乾燥をさせるのはやめましょう。逆に静電気を引き起こす要因になります。髪を洗った後は必ずドライヤーで乾かすようにしましょう。
シーツや枕カバーを変える
静電気を防ぐために、シーツや枕カバーを変えてみましょう。
ポリエステルやナイロン素材のものは、静電気が起きやすい傾向にありますが、天然素材のものは湿気を保ちやすく、静電気が起こりにくいです。また、肌に優しい素材なので、髪だけでなく美容にも効果があります。
静電気が起きにくい天然素材として良いのがシルク素材です。ほこりが溜まりにくく、肌触りも良いので、睡眠の質を上げる効果があります。また、夏は涼しさを、冬は暖かさを感じやすいため、オールシーズン使用できるのが特徴です。髪の静電気で悩んでいる方は、使っているシーツや枕カバーを変えてみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回は、髪の静電気が起こる理由と髪への影響、静電気の予防についてご紹介しました。空気が乾燥している時期に多い静電気ですが、対策をすれば静電気を防ぐことができ、髪も綺麗に保つことができます。
髪の静電気で悩んでいる方は、この記事を参考に、静電気で乱れない綺麗な髪を手に入れてみてください。