トリートメントは、施術方法や含まれる成分などによっていくつかの種類に分類できます。それぞれ効果が異なるため、目的や髪質などに合わせて選ぶようにしてみてください。この記事では、美容院で使用されることの多いトリートメントの種類や、市販品とサロントリートメントの違いなどについてまとめています。
この記事でわかること!
トリートメントの種類
ヘアトリートメントは大きく「サロントリートメント」「PPTトリートメント」「ホームケアトリートメント」の3種類に分類されます。どれも毛髪の保護・補修を目的としたものですが、使用するタイミングや使用方法などが異なります。
サロントリートメント
サロントリートメントは、主に美容院で提供されるトリートメントメニューのことです。一般的には、複数種類のトリートメント剤でダメージをケアしていく「システムトリートメント」を指すことが多いです。
PPTトリートメント
PPTトリートメントも主に美容院で使われますが、この種類のトリートメントはパーマやヘアカラーなどの施術と併せて使用されます。
パーマや縮毛矯正、カラーなどの施術は髪に大きな負担がかかります。PPTトリートメントはそれらの施術によるダメージを和らげるのが目的であり、施術の前後や途中で使われます。また、パーマなどで使用される薬剤と混ぜて使うケースもあります。
PPTとは「ポリペプチド」のことで、毛髪を構成するタンパク質に似た水溶性の成分です。傷んだ髪の毛からはタンパク質が失われ、手触りなどが悪くなります。大きい分子のタンパク質をそのままトリートメントに使用することは難しいため、分子が小さく、水溶性のポリペプチドがパーマなどの施術の際のダメージケアとして使われます。
パーマやカラーの施術において、PPTトリートメントがメニューに含まれるかどうかは店舗によって異なります。髪の傷みが気になる人は、あらかじめ確認しておくことをおすすめします。また、PPTトリートメントに加えてサロントリートメントも行うという選択肢もあります。
ホームケアトリートメント
ホームケアトリートメントは、自宅でのシャンプー後やドライヤーの使用前に使うタイプのトリートメントです。サロンのシステムトリートメントは複数種類のトリートメントを組み合わせて使うのに対して、基本的にホームケアトリートメントは1種類です。
ホームケアトリートメントは、使用後に洗い流すタイプと洗い流さないタイプに分けられます。それぞれの特徴について以下で解説していきます。
洗い流す「インバストリートメント」
一般的に「トリートメント」と呼ばれるのは、入浴時に使う「インバストリートメント」です。髪の毛を補修する成分などが含まれており、シャンプーの後に使うことで傷んだ髪をケアし、指通りを良くします。
リンスやコンディショナーが毛髪の表面の状態を整える働きを持つのに対して、インバストリートメントは毛髪を内部からケアする目的で使用します。
洗い流さない「アウトバストリートメント」
「アウトバストリートメント」とは、お風呂上がりのタオルドライ後の髪に使う洗い流さないタイプのトリートメントです。内部から毛髪の状態を整えるという点では、洗い流すタイプのトリートメントと同様です。
アウトバストリートメントには、ドライヤーの熱や乾燥した空気、摩擦から髪の毛を守るという役割もあります。よりしっかりとホームケアしたいという場合は、インバストリートメントとアウトバストリートメントを併用するのがおすすめです。
サロンと市販品のトリートメントの違いは?
サロンで行うトリートメントとドラッグストアなどで購入できる市販品は、配合されている成分、1回のケアに使用するトリートメント剤の数などに違いがあります。サロントリートメントの方が高価な成分がふんだんに配合されており、価格は高くなります。
また、サロンのシステムトリートメントの場合、1回のケアでいくつかのステップに分けてトリートメント剤を重ねづけしていき、種類によっては複数回の施術で効果をより感じられるものもあります。またサロントリートメントは持続期間が長く、一般に1ヶ月程度は効果を感じられます。
一方、市販されているトリートメントは比較的価格が安いため、毎日のケアに向いています。ホームケアトリートメントにも髪を補修する成分が入っており、傷んだ髪をケアし、ドライヤーの熱などからも保護することができます。ホームケアをしっかりと行えば、サロンの仕上がりをより長くキープできる場合があります。
美容院のトリートメント(サロントリートメント)の種類
美容院で行うサロントリートメントは、髪質や髪のダメージレベルなどに応じてメニューを選択できる点もメリットです。サロントリートメントと一口にいっても、美容院ごとに複数のメニューを用意していることが多いです。ここからは、サロントリートメントの種類についてより詳しく説明していきます。
酸熱トリートメント
「酸熱トリートメント」では、「グリオキシル酸」「レブリン酸」「グリコール酸」といった酸性の性質を持つ薬剤が使われます。毛髪は元々弱酸性ですが、それより強い酸性のトリートメント剤を塗布し、さらに途中でヘアアイロンをあてることによって、「疑似的」に髪を健康に近い状態にします。
髪の質感を整える効果が高く、サロンでも注目されている種類のトリートメントです。ただし、酸熱トリートメントは髪のダメージレベルによっては施術が難しいケースもあります。
酸性のトリートメント剤は毛髪を収斂(しゅうれん)させるため、傷みがひどい場合やブリーチをしている場合などは、それに耐えることができません。傷んだ髪に酸熱トリートメントを無理に行うと、余計にダメージヘアが目立つようになることがあるため注意しましょう。
酸熱トリートメントにはメリットもありますが、「ヘアカラーが色落ちしやすくなる」「薬剤の独特な臭い」などのデメリットもあります。酸熱トリートメントに興味がある場合、まずは担当の美容師に自分の髪質との相性を確認してもらうのが良いでしょう。
また、美容師の技術力にも左右されるため、しっかりと説明を受け、信頼できる美容院でトリートメントしてもらうことをおすすめします。
TOKIOトリートメント
「TOKIOトリートメント」は、特許技術である「インカラミ」を用いたヘアトリートメント方法です。
TOKIOトリートメントには、毛髪を構成する成分のひとつであり、タンパク質の一種でもあるケラチンが使用されています。傷みによりタンパク質が流れ出た毛髪にケラチンを補充することで、ダメージを補修し、ハリやコシを与えるなどの効果が期待できます。
通常のTOKIOトリートメントは、4ステップでケアを行うシステムトリートメントです。複数の薬剤を重ね付けしていくことで高いトリートメント効果を生み出しますが、サロンによっては「TOKIOインカラミリミテッド」「TOKIOハイパーインカラミ」などの、特別なメニューも用意されています。
TOKIOインカラミからはホームケアシリーズも販売されていますが、基本的にはサロンで受けるトリートメントです。TOKIOトリートメントは持続性が高く、コスパは良いものの、一般的なサロントリートメントと比べるとやや高めの料金設定です。
特に、ハイパーインカラミなどの施術は通常メニューよりも高めの価格になるため、定期的にトリートメントを受けようと考えている方は料金をあらかじめ確認しておくのがいいでしょう。
サイエンスアクアトリートメント
「サイエンスアクアトリートメント」は、アルカリ電解水を使用するトリートメント方法です。アルカリ電解水によって毛髪のキューティクルを開き、髪の内部までトリートメント成分を浸透させます。
一般的なサロントリートメントとは施術方法がやや異なり、薬剤の臭いや色落ちが少ない点がメリットですが、酸熱トリートメントと比較すると、1回の施術で得られる効果は劣る傾向があります。
サイエンスアクアトリートメントは複数回のケアが前提で、3回程度まではあまり期間を空けずに施術するのが良いと言われています。その後の施術頻度は髪の状態などによっても変わってくるので、美容師と相談しながらケアするようにしましょう。
ケラチントリートメント
髪の毛を構成するのは「タンパク質」「脂質」「メラニン色素」などです。
「ケラチントリートメント」は髪の毛の主成分であるタンパク質(ケラチン)を補給することで、毛髪を補修するタイプのトリートメントです。
傷んだ髪からはタンパク質が流れ出て、ハリやコシ、潤いなどが失われやすくなります。毛髪自体は死んだ細胞なので、一度傷んだ髪は自己再生することができません。しかし、ケラチントリートメントにはタンパク質などの補修成分と、それらを毛髪に吸着させるための成分が配合されており、傷んだ髪の補修が期待できます。
ケラチントリートメントは効果が早く現れやすく、持続性も高いとされていますが、ヘアカラーやパーマを検討している人は注意が必要です。例えば、トリートメントに配合されている成分によっては、「染まりにくくなる」「色落ちしやすい」などヘアカラーの施術に支障をきたすおそれもあります。担当の美容師にヘアカラーやパーマへの影響についても確認しておくのがおすすめです。
酵素トリートメント
「酵素トリートメント」は、酵素の働きに着目したヘアトリートメントです。酵素の力で柔軟性を与え、柔らかく、扱いやすい髪にします。
パーマやヘアカラーなどで使用される薬剤はアルカリ性の性質を持つことが多く、弱酸性の毛髪にとってはダメージとなります。またアルカリ性の薬剤やアイロンの熱などは毛髪内部のタンパク質に影響し、髪は硬くなっていきます。
硬くなった髪は、パーマやカラーなどの効き目も悪くなり、扱いづらくなりますが、酵素トリートメントなら髪の毛を柔らかくほぐすことができます。
酵素トリートメントは髪に柔軟性を与えるのが主な目的であり、傷んだ髪を内部から補修する効果はあまり高くありません。そのため、髪のダメージレベルが高い場合や既にダメージで細くなっている髪には酵素トリートメントは向かないため、髪の状態に合った種類のトリートメントを選択することが重要になります。
ハイダメージの髪に効果がないというわけではないですが、別の種類のトリートメントの方が効果を実感しやすいケースもあることを知っておきましょう。
トリキュアトリートメント
「トリキュアトリートメント」はニューウェイジャパン株式会社のトリートメントで、全国のサロンで取り扱っています。酸熱トリートメントと似ていますが、独特の臭いが少なく、パーマやカラーなどとも同時施術できるという点では、トリキュアトリートメントが優れていると言えます。また1回あたりの料金も、酸熱トリートメントより安い傾向にあります。
その一方で、ダメージをケアする効果や持続期間は、酸熱トリートメントに比べて劣るとされていますが、従来のシステムトリートメントよりは高い効果と持続性があります。そのため「酸熱トリートメントのデメリットが不安」という場合は、まずは比較的手軽で、似たタイプのトリキュアトリートメントを検討してみるのも良いでしょう。
美容院のトリートメントの選び方とは?
一般に、美容院で受けられるサロントリートメントには複数種類のメニューが用意されています。「どのトリートメントが自分に合っているのかわからない」という人もいるかもしれませんが、髪の毛のダメージレベル、髪質、パーマ・カラーの有無、価格などが選ぶ際のポイントになります。
基本的には、価格の高いトリートメントの方が配合されている成分が多く、高い効果が期待できると言えるでしょう。しかし、髪の状態によっては、高いトリートメントでも効果を実感しにくい場合があり、必ずしも料金だけが選ぶ基準になるとは限りません。
そのため、トリートメントメニューに迷ったら、予算や悩みを伝えた上で担当する美容師に相談するのがおすすめです。トリートメントによってメリット・デメリットが異なるので、あくまでも自分に合ったメニューを選択するようにしてみましょう。
まとめ
ヘアケアトリートメントは大きく「サロントリートメント」「PPTトリートメント」「ホームケアトリートメント」に分類できます。
さらに、サロントリートメントにも複数の種類があり、使用する薬剤や施術方法、効果などが異なります。複数の選択肢から自分でメニューを選ぶことが難しい場合は、プロの美容師に相談しながら決めるのがおすすめです。髪質やダメージレベル、予算などに応じて適切なトリートメントメニューを提案してくれるはずです。
また、自宅で使用するホームケアトリートメントも種類が充実しています。手頃な価格で購入できる市販品だけでなく、最近ではサロントリートメント仕様のホームケアシリーズも増えてきています。「髪の傷みが気になる」「サロンの仕上がりをキープしたい」という方は、インバストリートメントやアウトバストリートメントも併用するようにしてみると良いでしょう。