「海外の水は硬水なので、シャンプーすると髪が傷むって本当?」「海外に行く予定だけど、髪のダメージが心配」と、海外旅行前に不安になっていませんか?
この記事では、硬水が髪に与える影響や硬水で髪を洗うための対策を6つ紹介します。本記事で紹介する硬水対策を実施すれば、髪のダメージを気にせず旅行を楽しめます。
ぜひ、最後まで目を通して、海外旅行を満喫してください。
この記事でわかること!
硬水はカルシウムやマグネシウムの含有量が多い水
硬水とは、カルシウムとマグネシウムが多く含まれている水を指します。
硬水は、水が地層を通る際に、土や岩石中のミネラルを取り込み形成されます。食事で不足しがちなミネラルを、水分とともに摂取できるのは硬水の利点といえます。
ただし、マグネシウムは水分を集めて便を柔らかくする働きがあります。そのため、腸への刺激が強くなり、お腹が緩くなる方もいます。
硬水と軟水の違いは「硬度」にある
硬度は、水に含まれているカルシウムとマグネシウムの含有量を炭酸カルシウムの量に換算して数値化したものです。硬度の程度に応じて、水は軟水または硬水に分類され、その特性はさまざまです。
硬度が低い場合は軟水に、高いと硬水に分類されます。硬度の基準はさまざまですが、WHOの飲料水質ガイドラインでは以下の表のように分類されています。
WHO(世界保健機関)飲料水水質ガイドラインでの定義 | |
区分 | 硬度 |
軟水 | 60㎎/L未満 |
中程度の硬水 | 60~120㎎/L |
硬水 | 120~180㎎/L |
非常な硬水 | 180㎎/L以上 |
水が軟水・硬水のどちらの性質を持つかは、その土地の地形や地層に左右されます。
日本の水は硬度50mg~60mg程度の軟水
日本の水の硬度は地域にも寄りますが、およそ硬度50mgから60mg程度の軟水です。
日本の地形は、他の国や地域と比べて山から海までの傾斜が強く距離も短いため、山に降った雨水はあまり土や石などに接触せずに海まで流れていきます。
日本の水が軟水になるのは、水が土や石と接触する時間が短く、地中から水に溶けだす成分が少なくなるためです。また、日本の地層はミネラルの少ない火成岩が中心なのも、要因の一つにあげられます。
軟水は硬水に比べて苦味やえぐみが少なく口当たりもまろやかで、万人受けする水といえます。
ヨーロッパなどの海外は硬水地域も多い
ヨーロッパをはじめとする海外の地域では、硬水の地域が多く見受けられます。
ヨーロッパなどの場合、広大な土地へ降り注いだ雨水は時間をかけてゆっくり流れていきます。そのため、多くの成分が土や石などから水に溶けだし、硬水となります。
硬水の味は、軟水に比べて重たい感じがします。また苦味やえぐみを感じる方もいます。「硬水は飲みごたえがある」と感じる方もいるようですが、軟水に慣れた日本人の多くは、硬水を飲んでもあまり美味しいと感じないようです。
硬水が髪の毛に与える5つの影響
硬水と軟水では、シャンプーしたあとの髪の手触りが変わってきます。海外でシャンプーをして「髪がゴワゴワになった」と感じた方も、多いのではないでしょうか。
硬水で髪を洗った場合の起こりやすい影響について、以下に代表的な5つをあげています。
- 髪質の悪化|髪がきしむ
- 過度の乾燥|髪や頭皮が乾燥する
- 脱色が進む|色落ちしやすくなる
- ベタつきが残る|シャンプーが泡立ちにくい
- 化学反応が起こる|シャンプーが水で落ちにくい
髪質の悪化|髪がきしむ
硬度の高い水で髪を洗うと髪がきしみ、ゴワゴワとした感触になる場合があります。これは硬水に含まれるカルシウムやマグネシウムが、髪のたんぱく質と反応し付着するためです。
また、硬水のミネラルと石鹸成分が化学反応で凝固したもの(石鹸カス)が髪に付着するのも、原因の一つです。この石鹸カスは水に溶けず髪に残りやすい性質を持っています。
そのため、洗髪を繰り返しても石鹸カスは取り除けず、髪がきしんだ状態になってしまうのです。
過度の乾燥|髪や頭皮が乾燥する
硬水で髪や体を洗うと、乾燥の原因になる場合があります。硬水に含まれるカルシウムやマグネシウムは、石鹸のミネラルと反応して水では洗い流せない石鹸カスを作ります。
この現象は、シャワーを浴びたあとも持続します。水が蒸発してもその石鹸カスは残るため、髪のゴワゴワ感や皮膚の突っ張り感の元凶となります。
石鹸カスを取ろうと強くと洗いがちですが、過剰に洗ってしまうと髪や肌のバリアを傷つけ、乾燥の原因となります。
脱色が進む|色落ちしやすくなる
多くの方が海外旅行中に、髪のカラーの色落ちを経験しているようです。これは、硬水が髪のカラーに影響している可能性があるためです。
色落ちは、硬水に含まれる金属イオンが原因と考えられます。金属イオンは直接髪に悪影響を与えるものではないといわれていますが、硬水に含まれる金属イオンとカラー剤の成分が混ざると、カラーの発色が悪くなったり色ムラができたりと、髪のカラーに悪影響を及ぼします。
ベタつきが残る|シャンプーが泡立ちにくい
水の硬度が上がれば、シャンプーは泡立ちにくくなります。これは硬水に含まれる金属イオンがシャンプーの成分と反応し、界面活性剤の働きを妨げるのが原因です。
そのため、シャンプーが本来の効果を発揮せず、泡立ちにくくなるのです。日本製のシャンプーは硬度が高い水の使用を想定していないため、海外の硬水とは相性が悪いようです。
化学反応が起こる|シャンプーが水で落ちにくい
硬水で髪を洗った場合、洗髪後に水を流してもシャンプーが落ちにくくなります。
硬水に含まれる成分とシャンプーの成分が混ざると、石鹸カスが発生します。この石鹸カスは水に溶けないため、一度着くとなかなか落とせません。
さらに、毛髪は傷つくとマイナスの電荷を持った部分が露出します。そのため、プラスの電荷を持っている金属イオンが付着しやすくなります。
その結果、傷ついた部分に吸着するはずのトリートメント成分が、金属イオン成分に邪魔されてしまい効果が十分に発揮できなくなります。
大事な髪の毛をケアしよう!おすすめ硬水対策6選
海外旅行を検討している方は、髪をダメージから守るために硬水対策が必要です。
特にヨーロッパは、硬水の地域が多くあります。以下で紹介するおすすめの6つの硬水対策を行なって、大切な髪の毛を守りましょう。
軟水化する機能のシャワーヘッドを使う
軟水化機能のあるシャワーヘッドは、シャワーヘッドを変えることで手軽に硬水を軟水に変えられます。また、軟水化だけでなく塩素も取り除き、髪の健康を保ちながら美しい髪を維持できます。
軟水化機能付きのシャワーヘッドは、旅先でも自宅と同様に良質な水を使用できるため、地域ごとの水質の違いに柔軟に対応できるアイテムといえるでしょう。
お風呂で使えるブラシで髪をとかす
硬水で洗った髪を普通のブラシでといたときに、髪に引っかかったり切れたりするのは珍しくありません。
硬水で髪を洗う必要がある場面では、少し目の粗いブラシなら硬水で傷んだ髪でもなめらかに使用できます。
さらにコンディショナーを使う時もブラシを使用すると、コンディショナーの効果を髪に深く行き渡らせるため、髪がよりサラサラで艶やかな仕上がりになります。
最後に軟水で洗い流す
髪や肌に硬水が残ると、ダメージや乾燥の原因になってしまいます。そのため、硬水の地域でシャワーに入ったら、最後に軟水で洗い流す方法があります。
しかし、軟水化できるシャワーヘッドを用意できない場合もあるでしょう。そのようなケースでは、費用はかかりますが軟水のミネラルウォーターなどを使用して最後の部分だけでも洗い流すのを検討してみてください。
海外で大事な髪をダメージから守るためには、硬水の影響をなるべく小さくする必要があります。最後に軟水で洗い流せば、硬水の余分な成分を取り除いて髪のダメージや乾燥を低減できます。
シャンプーは2~3日に1回
硬水の地域で軟水の水を用意できない場合は、洗髪は2〜3日に1回だけにして、あとの1〜2日はドライシャンプーを使うのも1つの方法です。
硬水地域の場合、髪のダメージを考えて2〜3日に1回だけ洗髪するのは珍しくありません。とはいっても、今まで毎日髪を洗っていた方は、1日でもシャンプーしないと気持ち悪くて落ち着かないでしょう。
そこで、シャンプーをしない日はドライシャンプーで髪を洗ってみてください。ドライシャンプーを使用すれば皮脂や髪のべたつきを取り除くため、気になる匂いを抑えて頭皮を清潔に保てます。
ヘアミルク、オイルで保湿する
水でダメージを受けた髪には、保湿が欠かせません。ヘアミルクやオイルなら、ダメージを補修しながら保湿ができます。ただし「毎日使用するとベタつく」と、敬遠される方もいるでしょう。その場合は、洗い流さないトリートメントとの併用をおすすめします。
1日おきに、ヘアミルク・オイルとトリートメントを使い分ければ、髪に必要な潤いを保ちつつ、べたつきもある程度抑えられます。
硬水に対応したシャンプーの使用
硬水に対応したシャンプーを選ぶのも重要です。硬水は、シャンプーや石鹸との相性がよくありません。
特に、一般的な日本のシャンプーや石鹸は、海外の硬水には不向きです。そのため、硬水の地域に出かける方は、硬水対応のシャンプーを用意してみてください。
硬水と相性の悪いシャンプーは使わない
硬水と相性の悪いシャンプーを使うと、髪が傷みます。それでは、どのようなシャンプーが硬水と相性が悪いのでしょうか。
シャンプーの主な成分は界面活性剤です。界面活性剤にはさまざまな種類があり、日本では陰イオン界面活性剤が多く使われています。しかし、陰イオン界面活性剤は硬水との相性が悪いため、避けた方が無難でしょう。
一方で、非イオン界面活性剤は金属イオンと反応しないため、硬水で使用しても髪を傷めにくいです。そのため、硬水の地域に出かけるさいは、非イオン界面活性剤配合のシャンプーを用意してみてください。
まとめ
硬水は、カルシウムやマグネシウムなどを多く含む水です。日本のほとんどは軟水の地域ですが、海外では硬水の地域は珍しくありません。
硬水から髪を守るためには、軟水化シャワーヘッドの使用やシャワー後の保湿、硬水用のシャンプーの使用などの対策があります。特に軟水化シャワーヘッドは簡単に取り付けができ、荷物にもならないのでおすすめです。
せっかくの海外旅行で髪が傷んでしまったら、楽しい気分も台無しです。硬水の地域ではしっかりと硬水対策をして、旅行を楽しみましょう。