羊水検査について何となく聞いたことがあっても、どのような検査かは詳しく知らない妊婦さんも多いのではないでしょうか。羊水検査とは「羊水中に含まれる胎児細胞の染色体そのものを調べる」ことです。以前は年齢を指標に検査を行っていましたが、近年ではNIPT(新型出生前診断)で陽性が出た場合に検査を行うことが多くなっています。
検査を受ける方は不安になると思われるので、正しい知識を得てから検査を受けることをおすすめします。
- 羊水検査の目的は?
- どんな方法で検査するの?
- 羊水検査のリスクは?
このようなことを思っている方に向けて、羊水検査について詳しく解説します。
上記以外にも、痛みや検査結果の出る期間についても解説するので最後までご覧ください。
出生前診断は公的医療保険が適用されない『自由診療』です。
検査費用などは全額自己負担となりますので、高額となる可能性がございます。
また、各医療機関によって費用に含まれる内容が異なりますので、事前にご確認ください。
参考:国税庁「医療費を支払ったとき」より
この記事でわかること!
羊水検査とは?
羊水検査とは赤ちゃんが生まれる前に受けられる出生前検査のひとつで、胎児の染色体や遺伝子に異常がないかを調べます。胎児は羊水の中で育つため、羊水には胎児の細胞が多く含まれています。その羊水を母体から採取するため、診断の精度が高く結果は確定的なものです。
確定的検査は2種類あり、羊水検査と絨毛検査になります。どちらも染色体異常を検査し、胎児に先天性の疾患がないかを調べる検査です。
ここでは2種類の確定的検査の、違いについて詳しく解説します。検査を受ける時期・検査方法・メリットなどをまとめたので参考にしてください。
羊水検査と絨毛検査の違い
羊水検査と絨毛検査の違いを、比較してまとめたものが下記の表になります。
羊水検査 |
絨毛検査 |
|
検査期間 |
妊娠15~17週目 |
妊娠11~13週目 |
採取方法 |
羊水穿刺 |
経腹法・経腟法 |
メリット |
・胎児の状態を知ることができる※ |
・羊水検査より確定的検査が早く受けられる |
同じ確定的検査の違いを表でまとめましたが、違いはほとんどなく検査可能期間が絨毛検査の方が早いことです。そのためスクリーニングでハイリスクの結果が出たとしても、比較的待たずに検査を受けられます。
絨毛検査の採取方法は経腹法と経腟法の2種類あり、羊水検査は細い穿刺針を使用した羊水穿刺です。どちらの検査もお母さんのお腹にエコー(超音波機器)を当てて、確認しながら検査を行います。
絨毛検査は胎盤の絨毛組織で検査を行うため、胎盤と赤ちゃんの染色体核型が同じであれば問題はありません。しかし、胎児に染色体異常が見られないが胎盤のみに異常が見られるケースがあります。
このことを胎盤モザイクと呼び、その場合は羊水検査で染色体を再評価することが必要です。
羊水検査の対象となる人
ご家族・親族が染色体異常保因者に認められたり、高齢出産などリスクがあれば不安になる方も少なくありません。過去にダウン症などの赤ちゃんの出産経験がある方も同様の気持ちでしょう。
羊水検査の対象者をまとめると以下の通りです。
- 夫婦のどちらかが染色体異常保因者である
- ダウン症などの染色体異常児の出産経験がある
- 母親が高齢出産でリスクが高い
- NIPT検査(出生前診断)で陽性だった場合
上記に当てはまり、「検査を希望する」と答えた方が検査を受ける対象者となります。該当はしないけれど、リスクや内容を理解した上で希望の方も、検査を受けられる場合があります。
検査を受けると出産前の赤ちゃんの状態をご家族と共有できるので、落ち着いた状態で迎える準備をすることができます。また、分娩施設の選定やNICU(新生児集中治療室)の予約を事前に行うことができる場合もあります。
これから赤ちゃんを迎えるにあたって、羊水検査を行い適切な環境を用意して迎えることができるといえます。
羊水検査・知っておきたいポイント
羊水検査を受けたからといって、赤ちゃんが100%正常とは言い切れません。また、異常が見つかっても染色体を治療する方法がないのが現状です。
検査を受ける上で特に知っておきたいことは、決して安全な検査ではないということです。母体に針を入れて検査を行うので、胎児に傷が付く恐れもあります。また、早産や流産のリスクも伴います。採取した羊水の中に含まれる胎児の細胞が少ない場合や、羊水が採取できないなどの理由で検査結果が出ない場合もあります。
上記を踏まえて何も知らずに検査を受けるより、事前に正確な情報を得ることが検査を受ける上で特に重要になります。下記では、羊水検査を行う前に知っておきたいことを詳しく解説していきます。
検査前に知っておきたいこと
羊水検査は確定的検査のひとつですが、安全とはいえず保証もありません。
検査前に押さえたいポイントは、「羊水検査の時期」「羊水検査の方法」「羊水検査のリスク」の3つです。
事前に羊水検査の特徴を理解しておくことで、実際に受けるときの心持ちも違ってきます。受けるか受けないかの、判断をする参考にしてください。
羊水検査の時期
羊水検査が受けられる時期は、妊娠中期の15〜17週以降です。だいたい、4〜5ヶ月頃に行う検査になります。それ以前になると羊水の量が少ないため、充分な胎児の細胞を得ることができないからです。
妊娠週数が経つにつれて羊水の量が増えるので、15週以降を目安に検査を受けてください。いつでも受けられる検査ではないので、ご自身の妊娠週数を把握して受けることが大切です。
羊水検査の方法
超音波検査で胎児の心拍や発育が正常であるか、羊水の量が検査に使用する量に達しているかを確認します。また、この検査のときに一緒に確認するのが子宮に針を刺す位置です。
羊水検査の方法はエコーを使用して羊水ポケットの位置と、超音波で胎児の位置を確認しながら行います。胎児の位置を確認しながら、細い針で穿刺をして羊水を採取します。
細い針を使用しておりますが、多少の痛みを伴います。麻酔の用意はあるので、痛みに弱い方は医師に相談してください。
約20mlの羊水を1回で採取しますが、充分な量が採取できない場合は2〜3回ほど繰り返す場合があります。
検査は日帰り入院がほとんどで、異常がなければ30分安静にして終了になります。最後にエコーで胎児の確認をして、そのまま帰宅することが可能です。
羊水検査のリスク
羊水検査は母体に針を穿刺して羊水を採取するため、出血や感染症などが原因で流産や早産になるケースがあります。羊水検査による流産や早産のリスクの発生は、1000人に3〜5人くらいの割合になります。※
羊水を採取する際にエコーで確認しながら行いますが、胎児が急に動いて針で傷付けてしまうことがあります。他に現れる症状は、羊水漏れやお腹が張る(子宮収縮)などです。
検査前にこのような知識を把握することで、クリニックでの説明が理解しやすくなります。医師からの説明をよく聞いて、納得した上で検査を受けるとよいでしょう。
※参考:ユニ・チャームHP
羊水検査・よくある3つの質問
どの検査においても気になることは共通していて、費用・痛み・検査結果についてです。費用は検査するクリニックによって様々で、痛みについては個人差があるため感じ方が違ってきます。
だいたいの目安を理解するかしないかでは、気持ちの部分や事前準備に差が出てきます。よくある3つの質問をまとめたので、検査を受ける際の参考にしてください。
費用はどのくらい?
検査にかかる費用は施設によってさまざまで、10万〜20万円が相場です。入院が必要な場合は別途費用がかかりますが、ほとんどの施設は日帰りになります。
保険は適応外で自費診療になり、全額自己負担です。なお、公的健康保険や高額療養費制度なども医療につながらないため適用外になります。
費用を抑えて検査を受けたい方は、様々な施設のカウンセリングを受けて相談することをおすすめします。
痛みはあるの?
羊水検査は細い針をお腹の表面に穿刺するので、多少の痛みを伴います。麻酔の有無は選べるので、医師と相談して決めましょう。
麻酔なしの場合だと、筋肉注射を打ったときのような痛みを伴います。ほとんどの施設では、針を刺す箇所に局部麻酔を行っています。ただし、個人差もありますので、大した痛みではないとハッキリとは言い切れません。痛みに弱い方は、麻酔を打って検査に臨むのも良いでしょう。
検査結果はいつわかるの?
採取した羊水ですぐに検査をするわけではなく、胎児の細胞を増やす培養を経てから行います。その後に染色体の検査と判定をするので、結果は早くても3週間程度かかるのが通常です。
培養の時点で胎児の細胞が増えず検査に至らなかった場合は、2週間程度で連絡がくる場合があります。その場合は、頃合いを見て再検査をする必要があります。
その他の出生前検査
出生前検査の染色体検査には大きく分けて2種類あり、非確定的検査と確定的検査です。非確定的検査は、以下の3種類になります。
- NIPT(新型出生前診断)
- 母体血清マーカー検査
- コンバインド検査
非確定的検査は採血やエコーで検査ができるので、流産や早産のリスクがありません。リスクはありませんが、母体血清マーカー検査とコンバインド検査は検査の精度が低いところがネックです。
近年検査が開始されたNIPT(新型生前前診断)は、精度が高く採血のみなので注目を集めている検査方法になります。NIPTの検査内容は、ダウン症や13トリソミーなどの可能性を調べる検査です。
しかし、異常が見つかっても診断を確定できないため、羊水検査や絨毛検査といった確定的検査をすることが必要です。
確定的検査はエコーで胎児を確認しながら検査をするとはいえ、針を刺すので母体や胎児を傷付ける場合があります。流産や早産のリスクを伴いますが、診断が確定できるのが大きな利点です。
検査内容は、染色体に関する疾患を調べることです。
非確定的検査 |
確定的検査 |
||||
検査名 |
NIPT(新型出生前診断) |
母体血清マーカー検査 |
コンバインド検査 |
羊水検査 |
絨毛検査 |
検査期間 |
妊娠10週目0日以降 |
妊娠11~13週目6日 |
妊娠11週~13週目6日 |
妊娠15~17週目 |
妊娠11~13週目 |
検査内容 |
・ダウン症 |
・ダウン症 |
・ダウン症 |
・染色体に関する疾患 |
|
検査結果 |
約1~2週間 |
約2週間 |
約2週間 |
約3週間 |
約2~3週間 |
費用 |
約20万円 |
約3万円 |
約5万円 |
約10万~20万円 |
約10万円 |
上記は非確定的検査と確定的検査を表にまとめたものです。非確定的検査は早い段階で検査を受けることができ、リスクが発生しないのが特徴です。確定的検査はリスクはあるものの、検査の精度が高く診断を確定できるのがメリットになります。
出生前検査には、染色体検査の他に形態異常検査があります。こちらの検査はエコー(超音波)を使用して、人間には感知できない音波をキャッチしてコンピューターで映像化します。
形態異常検査と染色体検査を分類した表になります。
形態異常検査 |
染色体異常検査 |
・エコー(超音波) |
・羊水検査 ・絨毛検査 ・NIPT(新型出生前診断) ・母体血清マーカー検査 ・コンバイン検査 |
エコー(超音波)検査では、胎児の首の後ろのむくみを測ることができます。以前の画像は鮮明ではありませんでしたが、技術の発展とともにきれいな画像になり、ダウン症の特徴を検査で観察できるようになっています。
出生前診断を取り扱っているクリニック
羊水検査を行う前に、出生前診断を受けましょう。
出生前診断の検査フロー STEP1 STEP2 STEP3 ※出生前診断は血液検査やエコー検査があります。
※カウンセリングと検査は、医療機関によって同じ日に行う場合と別日に行う場合があります。
※確定的検査は羊水検査や絨毛検査となります。
下記では、出生前診断を行っているクリニックをご紹介します。
ミネルバクリニック
ミネルバクリニックは、遺伝専門医が最新の遺伝診療を提供するクリニックです。
遺伝検査は大きな病院でしかできないと思われがちですが、より身近で多くの方に受けやすいものとして提供しています。
完全予約制・完全個室でプライバシーに配慮しており、それぞれのライフステージで訪れる悩みに寄り添い、一人ひとりの状況に合った提案をします。
クリニック名 | ミネルバクリニック |
診療時間 |
月、木、金、土、日曜日 |
費用(税込)/ 検査項目 |
スーパーNIPTベーシック 176,000円 スーパーNIPTジーンプラス 236,500円 コンプリートNIPTデノボプラス 440,000円 マイページシステム利用料 550円 |
結果が出るまでの期間 | 10日〜14日 |
予約方法 | WEBフォーム・電話予約(完全予約制) |
検査条件 | ・妊娠6週目以降 ・年齢制限なし ・一人受診可能 |
住所・アクセス | 〒107-0061 東京都港区北青山2丁目7-25 神宮外苑ビル 1号館2階 外苑前駅より徒歩1分 青山一丁目駅より徒歩9分 |
問い合わせ先 |
TEL:03-3478-3768 |
クリニックのサポート | ・オンラインでの受診対応 ・相談は無料 ・陽性診断後の羊水検査を15万円まで負担 |
出典:ミネルバクリニック
NIPT平石クリニック
NIPT平石クリニックは、出生前診断の検査実績が20万件以上あるクリニックです。 A 基本検査 198,000円 B 全染色体検査 231,000円 C 微小欠失検査 253,000円 出典:NIPT平石クリニック
「基本検査」「全染色体検査」「全染色体+微小欠失検査」の3種類のプランを用意しています。
認定遺伝カウンセラーが在籍しており、検査前の不安や、陽性の結果が出た場合にも無料で相談できます。
恵比寿駅から徒歩1分の場所にあり、土日でも検査可能です。ネットでは24時間予約可能、電話相談も22時まで受け付けています。
クリニック名
NIPT平石クリニック
診療時間
10:00~19:00 (不定休)
費用(税込)/ 検査項目
・13,18,21トリソミー検査
・性染色体検査
・性別判定
・13,18,21トリソミー検査
・1番~22番トリソミー検査
・性染色体検査
・性別判定
・13,18,21トリソミー検査
・1番~22番トリソミー検査
・性染色体検査
・微小欠失検査
・性別判定
結果が出るまでの期間
最短2日(採血を行った地域や時間帯、検査プランによって変動)
予約方法
WEB・電話予約(完全予約制)
検査条件
・妊娠6週目以降
・年齢制限なし
・一人受診可能
住所・アクセス
〒150-0021
東京都渋谷区恵比寿西1-10-7 MMSビル6階
恵比寿駅より徒歩1分
問い合わせ先
TEL:0120-220-944
クリニックのサポート
・全国に提携クリニックあり
・陽性だった場合、その後の羊水検査の費用を全額負担
絨毛検査や微小欠失の羊水検査も全額負担
・認定遺伝カウンセラーが在籍
青山ラジュボークリニック
青山ラジュボークリニックの出生前診断は、当日予約・当日検査ができます。年齢制限が無く一人でも受診可能で、陽性後の羊水検査費用を全額負担をしていたり、妊婦さんにとって優しい環境作りに取り組んでいます。検査結果が最短3日で分かることが特徴です。来院前や検査後に関わらず、認定遺伝カウンセラーによる無料相談を行っているので安心して利用することができます。
クリニック名 | 青山ラジュボークリニック |
診療時間 | 火~土 : 11:00〜19:30 日・祝祭日 : 11:00〜18:30 ※月曜休診 |
費用(税込)/ 検査項目 |
21番染色体単体検査 53,900円 ミニマムプラン 88,000円 ※本院限定 (A)ベーシックプラン 132,000円 (B)アドバンスプラン 165,000円 (C)フルセットプラン 187,000円 |
結果が出るまでの期間 | 最短2日 ※検査を行った地域や時間、検査プランによって変動 |
予約方法 | WEB・電話予約(完全予約制) |
検査条件 | ・妊娠9週目以降 ・年齢制限なし ・一人受診可能 |
住所・アクセス | 〒107-0062 東京都港区南青山2-13-7 マトリス2F 外苑前駅より徒歩2分 青山一丁目駅より徒歩5分 |
問い合わせ先 | TEL:0120-710-170 |
クリニックのサポート |
・全国に提携クリニックあり |
出典:青山ラジュボークリニック
DNA先端医療株式会社
DNA先端医療株式会社では、NIPTではデータを一括管理をしているため、年中無休で9:00~22:00まで検査結果が通知可能です。検査後のアフターフォローとして、認定遺伝カウンセラーとの電話窓口を設けているため、検査結果の見方や万が一陽性反応が出た場合なども、安心して相談することができます。また、陽性の場合の羊水検査または絨毛検査の全額費用補助があります。 A 基本検査 198,000円 B 全染色体検査 231,000円 C 微小欠失検査 253,000円 ・妊娠9週目以降 ・全国に提携クリニックあり 出典:DNA先端医療株式会社
提供会社名
DNA先端医療株式会社
診療時間
各提携医療機関に準ずる
費用(税込)
・13,18,21トリソミー検査
・性染色体検査
・性別判定
・13,18,21トリソミー検査
・1番~22番トリソミー検査
・性染色体検査
・性別判定
・13,18,21トリソミー検査
・1番~22番トリソミー検査
・性染色体検査
・微小欠失検査
・性別判定
結果が出るまでの期間
最短2日(採血を行った地域や時間帯、検査プランによって変動)
予約方法
WEB・電話予約
検査条件
・単胎または双胎妊娠の方
・年齢制限なし
住所・アクセス
提携医療機関のHPをご確認ください。
問い合わせ先
TEL:0120-330-987
クリニックのサポート
・認定遺伝カウンセラーと無料で話せる電話相談窓口あり
・全国のNIPT提供医療機関で監査が可能
・陽性だった場合、その後の羊水検査の費用を全額負担
まとめ
羊水検査は、細い穿刺針を母体に刺して羊水を採取する方法です。エコーで母体と胎児を確認しながら、針を刺していきます。羊水検査は染色体検査のうちの確定的検査なので、検査の精度が高く診断を確定できるメリットがあります。
しかし母体に針を刺して羊水を採取するので、流産や早産のリスクがある検査です。同じ確定的検査である絨毛検査や非確定的検査にはそれぞれ特徴があり、比較しながら受ける検査を決めてみてはいかがでしょうか。
検査内容や受けることで起こるリスクを正しく理解して、赤ちゃんを迎える準備を行ってください。