「トップのボリュームが落ちてきた」「うねりがひどくなった」「昔と同じようなヘアスタイルがなぜか決まらない」と、加齢とともに髪質の変化を実感している方も多いでしょう。肌が老化するのと同じように、私たちの髪にも加齢による変化が起こります。
この記事では、加齢によって髪質に起こる変化とその原因、早期にできる対策を解説します。ぜひ記事を参考に、髪からの変化のサインをキャッチし、健康な髪と頭皮をキープする習慣をスタートさせてください。
この記事でわかること!
年齢を重ねると髪質が変化する理由
年齢を重ねると肌がたるんだり、しわができたりするように、髪の毛にも変化が起こります。
大きな原因は、女性ホルモンの減少です。女性ホルモンは髪のハリやコシを保ち、成長を促す働きがあります。しかし、40代から女性ホルモンの分泌量が急激に減少し、髪は細く弱くなっていきます。
また、頭皮の乾燥やたるみも髪のパサつきやうねりの原因です。このような原因が複合的に起こり、女性の髪質は変化していきます。
髪の栄養や水分がなくなると髪全体がまとまりにくくなり、外からのダメージを受けやすくなるため、早めにケアしましょう。
加齢によって髪質に起こる4つの変化
パサつき|水分量の減少
パサつきの主な原因は、頭皮や髪の水分量の減少です。トリートメントやオイルを使ってもツヤが出ない方は、髪の水分が少ない可能性があります。実際、髪の水分量や皮脂量は30代をピークに老年期までどんどん低下していきます。
髪の水分量が少なくなり、内部が乾燥すると、カラーやパーマなどの外的ダメージがなくてもパサパサで傷んだ状態になるため注意しましょう。
うねり毛|頭皮のたるみ
髪がうねってまとまらないのは、加齢による頭皮のたるみが原因です。若いころからストレートだった方は、うねりへの戸惑いは大きいでしょう。
年齢を重ねると、顔と同じように頭皮もハリを失い、円形だった毛穴は楕円形にゆがんでしまいます。そのため、新たに生えてくる毛が平べったくなったり、毛穴のゆがみに沿ってウェーブしたりして、うねり毛になってしまいます。
特に、耳の上や襟足などの皮膚はたるみやすく、うねり毛になりやすい箇所です。髪がうねると光が均一に当たらず、ツヤのないパサついた印象になってしまいます。
薄毛や抜け毛|頭皮の乾燥
薄毛や抜け毛が起きる原因は、頭皮の乾燥です。頭皮の乾燥によって皮膚が硬くなると、血流の悪化で毛根に十分な栄養が行き渡りにくくなります。栄養の不足した毛根から生えた毛は抜け落ちやすくなります。
また、乾燥によって頭皮のバリア機能が低下すると、炎症が起こりやすくなります。炎症が起こると髪の成長に悪影響を及ぼし、脱毛につながるリスクが高まります。
ハリやコシの低下|エストロゲンの減少
加齢にともなって「ハリやコシ」すなわち「強度や弾力」がなくなったと感じる方もいるでしょう。ハリやコシの低下は、女性ホルモンであるエストロゲンの減少が大きく関わっています。
エストロゲンには髪を成長させ保持する働きがありますが、40代からは分泌量が急激に減少していきます。エストロゲンが減少すると髪が十分に成長できないため、ハリやコシがなくなり、全体的にボリュームダウンしてしまうのです。
加齢が原因でない髪質の変化もある
髪質の変化には、加齢を原因としないパターンもあります。
体調|髪が細くなる
体調不良が続くと髪に十分な栄養が行き渡らず、細くなったり抜け毛が多くなったりする方もいます。美しい髪を維持するためにも、体調管理には気をつけましょう。
なお、自己免疫疾患(膠原病など)や甲状腺疾患などの病気によって、薄毛が引き起こされるケースもあります。抜け毛とともに関節痛や倦怠感・無気力など気になる症状があれば、早めに医療機関を受診してみてください。
出産|一時的な抜け毛
妊娠から出産、産後とつづく急激なホルモンバランスの変化を受け、出産後の一時的な抜け毛を経験する方は少なくありません。
妊娠中は、エストロゲンとプロゲステロンの2種類のホルモンがいつも以上に増加します。エストロゲンは髪の成長を促し、プロゲステロンは髪の成長を維持する働きがあります。しかし、産後にこれらのホルモンが急激に減少すると、保たれていた毛が一気に抜け落ちてしまうのです。
とはいえ、産後の抜け毛は一時的なもので、産後半年から1年ほどで通常は自然に回復します。栄養や休息を十分とりながら、回復を待ちましょう。
薬の副作用|抜け毛など
薬の副作用で起こる抜け毛と聞くと、抗がん剤を連想する方も多いですが実は、抗がん剤以外にも抜け毛の副作用が報告されている薬はたくさんあります。
たとえば、内科領域でよく診察される高血圧や高脂血症・高尿酸血症などの薬でも、服用をつづけると髪がもろくなったり抜け毛が起きたりする場合があります。
薬によっては別の薬に変更すると髪の調子もよくなる可能性があるため「薬による抜け毛かも……」と思い当たる方は、一度医師に相談してみてください。
髪のハイダメージ|うねりや広がり
若い方でも、髪が強いダメージを受けると、キューティクルが広がり髪の中の栄養分が抜けてしまいます。内部の成分がかなり流出し、ツヤがなくバサッと広がるような状態がハイダメージ毛です。
髪がダメージを受ける因子には以下のようなものがあります。
- 紫外線
- ヘアアイロンやコテなどの熱
- カラー剤やパーマ剤などの薬剤
- 刺激の強いシャンプー
このような刺激によって髪の成分が流出してしまわないように、髪を守る対策をとりましょう。
・外出時は髪用の日焼け止めや帽子で紫外線を防ぐ
・アイロンやコテは140度くらいの設定で当てすぎない
・やさしい洗浄力のシャンプーを使う
・髪の成分を補えるトリートメントを使う
日常で対策しておくと、強いダメージによるうねりや広がりを可能な限り小さくできます。
加齢による髪の老化を防ぐ7つの対策
健康な髪を取り戻すために、まずは自分が取り入れやすい習慣からスタートしてみましょう。
ヘアオイルで髪を保湿
潤いやツヤがなくなりつつある方は、ヘアオイルを使ったお手入れを取り入れるとよいでしょう。ヘアオイルは、髪に水分や油分を補いながら、傷んだ毛先をなめらかな状態へ導きます。具体的には以下のようなメリットがあります。
- パサつきを抑えてまとまりやすくする
- ツヤを出す
- 乾燥や摩擦などのダメージから髪を守る
- スタイリング剤代わりに使える
ヘアオイルは、濡れた髪にも乾いた髪にも使える便利なアイテムです。髪の悩みや使うシーンに合わせて活用しましょう。
お風呂上がりの濡れた髪はキューティクルが開いているため、そのままドライヤーをかけるとパサついた印象に仕上がります。タオルドライ後にヘアオイルをつけてドライヤーで乾かすと、しっとりまとまりやすくなります。
ヘアオイルをつけるタイミングは、ドライヤーの後でもOKです。ドライヤー後に使うと、髪の表面にツヤが出るのがポイントです。睡眠中には、枕や寝具との摩擦から髪を守れるため、朝までツヤを保ちやすくなります。
また、朝のヘアセット前、乾いた髪にヘアオイルをなじませると、アイロンやコテからの熱ダメージを防げたり、好みのスタイリングに仕上げやすくなったりします。
ケアアイテムとしてヘアオイルを取り入れながら、髪の悩みと上手に付き合っていきましょう。
刺激の少ないシャンプーを使う
年齢を重ねると頭皮が敏感になります。刺激の少ないシャンプーを使って、頭皮トラブルを防ぎましょう。刺激の少ないシャンプーとは、「アミノ酸系シャンプー」や「ベタイン系シャンプー」などの洗浄成分のシャンプーです。
「アミノ酸系シャンプー」には以下のような特徴があります。
- 肌と同じ弱酸性である
- 必要な水分や皮脂を残したまま洗い上げる
- 泡立ちと洗浄力が適度にある
保湿力が高いため、仕上がりにまとまり感を出したい方にもおすすめです。
洗浄力がやさしいシャンプーと聞くと洗い残しを懸念する方もいるかもしれませんが、丁寧な洗い方をすれば低刺激シャンプーでもしっかり汚れを落とせます。
シャンプーは髪と頭皮に直接作用するアイテムかつ日々の習慣であるため、使う製品によっては髪のダメージへ大きく影響します。特に頭皮の赤みや乾燥を感じる方は、ぜひ低刺激のシャンプーを試してみてください。
入浴後は10分以内に髪を乾かす
入浴後は髪をすばやく乾かす習慣が大切です。お風呂から上がって10分以内にドライヤーで乾かし始めましょう。
髪の毛が濡れると、表面のキューティクルが開いて無防備な状態になります。濡れた時間が長くなると、髪内部のうるおい成分が流出して傷みの原因にもなります。そのため、入浴後の自然乾燥はNGです。
シャンプー後は、以下の手順で正しく乾かしてください。
- タオルでやさしく水分を拭き取る(全体を拭いて毛先へ)
- 洗い流さないトリートメントをつける
- 髪から10cmほど離してドライヤーで乾かす(根元を乾かして全体へ)
ドライヤーの熱でも髪は傷んでしまいます。ドライヤーの時間を短縮するためにも、吸水性の高いタオルで事前に水分をとっておきましょう。
たんぱく質を多めに摂取する
健康で美しい髪を作るには、たんぱく質が欠かせません。髪の毛の99%はたんぱく質でできているためです。
髪の毛のみならず私たちの体の組織全体も、主にたんぱく質からできています。栄養素は髪よりも生命活動を維持する臓器へ優先的に送られるため、たんぱく質の摂取量が少ないと、頭皮や髪にまで行き渡らない可能性があります。
体重50kgの方は、1日50gのたんぱく質を摂るのが理想です。そのためには、肉や魚・豆類などを1日250gほど食べる必要があります。特に食事のメニューが炭水化物に偏りがちな方は、たんぱく質を意識的に摂ってください。
また、女性の髪の老化予防には、以下の栄養素も欠かせません。
- 亜鉛(ケラチンを作るのに必要):牛肉・高野豆腐・ブロッコリー・牡蠣など
- 鉄分(頭皮に健康な血液を届ける):レバー・さんま・ほうれん草など
- ビタミンB群(体内の代謝をよくする):肉・魚・卵・緑黄色野菜・バナナなど
特定の食材に偏らず、バランスよく栄養をとりましょう。
ヘアカラーはプロにお願いする
ヘアカラーは、市販品を極力使わず美容師に任せるのが得策です。市販のカラー剤の多くは、技術がない方でも上手く染められるように強い成分や濃い成分が入っています。特に、白髪染めはおしゃれ染めに比べて薬剤による刺激が強いため、市販品を使うときには注意が必要です。
美容室では、髪の状態に適した薬剤を選んでもらえるのが大きなメリットです。比較的刺激の少ないカラーを採用しているサロンもあるため、薬剤の強さが心配な方は美容師に相談してください。
鏡で見えやすい顔回りや前側の髪には自分でも薬剤を塗りやすいですが、後頭部はなかなか難しいでしょう。美容師にお願いすると、手際よくムラなく仕上がり、美しさを長くキープできるでしょう。
1日5分頭皮マッサージする
頭皮の血行がよくなると、毛根へ栄養が行き届きやすくなります。頭皮の血流を促すために、1日5分の頭皮マッサージを取り入れるとよいでしょう。頭皮マッサージには、血行を促進するほか、以下のようなメリットもあります。
- 顔のたるみケアができる
- 毛穴の汚れがしっかり落ちる
- リラックスできる
頭と顔の筋肉や皮膚はつながっているため、頭皮が硬いと顔にたるみやむくみが生じます。下がった頭皮を正しい位置に戻すつもりでほぐすと、顔のリフトアップも期待できるでしょう。
また、湯船につかりながらオイルで頭皮マッサージするのもおすすめです。シャンプーで取り切れなかった毛穴の詰まりを低減できたり、リラックス効果からホルモンバランスが整い、発毛しやすい環境に近づくことができるでしょう。
毎日7〜8時間の睡眠を取る
髪の老化予防のために大切な生活習慣は、上質な睡眠です。睡眠不足が続くと、抜け毛や薄毛にもつながりかねません。睡眠時間は、目安として7〜8時間くらい取りましょう。
睡眠中は、成長ホルモンが活発に分泌されます。成長ホルモンは、太くて長い髪を育む働きをします。最も多く分泌されるのは、眠り始めて約3時間の深い眠りの間です。深い眠りに入りやすくするために、以下の点に気をつけ、リラックスして就寝しましょう。
- 寝る前はアルコールやカフェインを控える
- 入浴は就寝の2~3時間前までに済ませる
- 寝る前のスマホやパソコンを控える
- 毎朝同じ時間に起きる
加齢による髪質の変化に関するよくある質問
白髪染めは刺激が強い?
サロン用や市販品として一般的に使われる白髪染めは、ファッションカラー(おしゃれ染め)に比べて、髪や頭皮への刺激が強いです。以下のような理由で、白髪染めの方が刺激があります。
- 白髪がしっかり染まるよう白髪染めには強い薬剤が使われている
- おしゃれ染めは根元を薄く塗るのに対し、白髪染めは根元にべったりつける
- 白髪は頻繁に染める必要がある
また、カラー剤の染料中には「ジアミン」と呼ばれる、肌にアレルギー症状を引き起こしやすい成分が入っています。白髪染めを根元にべったりつけると、ジアミンが地肌に吸収されやすいため、肌の弱い方は注意が必要です。
最近は、ジアミン配合0%のノンジアミンカラーを採用しているサロンもあります。頭皮への刺激が心配な方は、美容師に相談してみてください。
刺激の少ないシャンプーの選び方は?
刺激の少ないシャンプーを選ぶときは、以下のポイントに注目しましょう。
- アミノ酸系やベタイン系成分などのやさしい洗浄成分が入っている
- 自分の悩みに合う美容成分が入っている
- 頭皮の刺激となる成分が入っていない
洗浄成分を知るには、成分表示で「水」の次に表示される成分を見てください。成分表示は含量の多いものから記載されており、水の次にくる成分が主な洗浄成分です。水の次がアミノ酸系成分の場合、その製品は「アミノ酸系シャンプー」と呼ばれます。
アミノ酸系成分は、主に「ココイル〇〇」や「ラウロイル〇〇」の名称が多く、ベタイン系成分は「〇〇ベタイン」と表示されています。
ベタイン系はアミノ酸系よりさらに洗浄力が弱く、ベビーシャンプーにも使われるのが特徴です。トラブルの少ない方が使うと洗浄力に物足りなさを感じがちな半面、ハイダメージを受けやすい方は頭皮をいたわりながら使えるでしょう。
また、ボリューム感を出したい方は、髪の主成分ケラチンと結合してハリやコシを与えるヘマチン入りの製品を選ぶのもおすすめです。頭皮の乾燥が気になる方は、ヒアルロン酸やセラミドなどの保湿成分が入った製品を選ぶとよいでしょう。
なお「ラウリル硫酸ナトリウム」を代表とする硫酸系の洗浄成分は、洗浄力が高い一方、頭皮への刺激が強く乾燥を引き起こしやすい点に注意が必要です。アミノ酸系シャンプーなどに硫酸系成分が少量入っている製品もあるため、気をつけて表示を見てください。
老化を防ぐ頭皮マッサージのやり方は?
頭皮マッサージのやり方はさまざまですが、こちらでは、道具などを用いないシンプルなマッサージを紹介します。以下の手順を参考にしてください。
- 小指の腹をこめかみにあて、親指以外の指で左右の耳の延長線に沿って頭皮を揉み上げるようにしてマッサージする。2〜3回ほど繰り返す。
- 後頭部にある百会(ひゃくえ)のツボを、10回ほど親指以外の指の腹で刺激する。※百会のツボ:両耳から頭頂部へ向かう線と、顔の中心から頭頂部へ向かう線が交差する位置
- 頭頂部から後頭部、首の後ろへとゆっくり手をおろしながらマッサージする。3回ほど繰り返す。
頭皮マッサージは気軽にできますが、やりすぎると逆に頭皮を刺激しすぎてしまいます。目安として、1日3回程度にしましょう。寝る前やバスタイムなどの時間を利用して、ぜひリラックスしながらマッサージしてみてください。
まとめ
加齢による髪のパサつきやうねりなどは、髪の水分量の低下や頭皮のたるみ、女性ホルモンの減少など複数の要因が重なって起こります。
生きている以上老化は避けられませんが、正しいヘアケア習慣を身につけると、髪の老化スピードはおだやかになります。ぜひ髪質の変化に合わせたケアを心がけ、髪を健やかに維持してみてください。