くせ毛の原因は様々です。ヘアカラーなどで髪の毛が傷んでくせ毛になっている場合、髪質改善で直すことが期待できます。しかし、くせ毛の原因によっては髪質改善の効果を実感できない可能性があるため、注意しなくてはなりません。この記事では、髪質改善で直せるくせ毛や髪質を整える方法を紹介します。
この記事でわかること!
髪質改善でくせ毛は直せる?
髪質改善ではこれから生えてくる髪の毛質を変えることはできません。しかし、くせ毛の原因によっては髪質改善によって髪の状態を整えられる場合もあります。
髪質改善とは、酸や熱の働きを利用して髪の毛内部を補修するもので、サロンや美容院で行われる施術のことです。弱めのうねりや髪の毛の広がりを改善でき、サラっとした手触りになるため、髪の毛がまとまりやすくなります。以下では、くせ毛の原因と種類について詳しく解説します。
くせ毛になる原因
くせ毛の原因は主に次の5つが考えられます。
- 生まれつき
- ホルモンバランスの変化
- 加齢
- 生活習慣の乱れ
- 紫外線やヘアカラーなどのダメージ
髪質改善は髪の毛内部を補修する仕組みなので、生まれつき(先天性)のくせ毛を直すことはできません。
また、人によってはホルモンバランスの変化や加齢、生活習慣の乱れが原因で、大人になるにつれて髪質が変わることがあります。大人になってくせ毛になった場合も、髪質改善で効果を実感するのは難しい可能性があります。
一方で、紫外線やヘアカラー、パーマなどのダメージが原因のくせ毛は、髪質改善によって直せるケースが多くあります。髪の毛がパサついてまとまりがない人、乾燥してツヤ感がない人は、髪質改善の効果を感じやすいと言えるでしょう。
くせ毛の種類
くせ毛の状態は人によって異なりますが、大きく分けると次の4種類があります。
- 波状毛(はじょうもう):波のように左右交互にうねっている毛
- 捻転毛(ねんてんもう):毛先に向けて回転してねじれている毛
- 縮毛(しゅくもう):細かく縮れている毛
- 連珠毛(れんじゅもう):数珠のように太い部分と細い部分がある毛
波状毛は波を打つようなうねりのある毛のことで、人によって波(ウェーブ)の大きさに違いがあります。
捻転毛はザラザラとした感触が特徴で、髪の毛がパサついて見えます。
髪の毛が細かく縮れた見た目の縮毛は、髪の毛にボリュームが出やすく、人によってはアフロヘアのように見えてしまうのが特徴です。
連珠毛は数珠のように太い部分と細い部分が交互になっている髪の毛で、日本人には少ないくせ毛です。
生まれつきのくせ毛は毛根の形が関係していると考えられており、髪質改善をしたからといってこれから生えてくる毛が直毛になるわけではありません。あくまでも、今生えている毛を扱いやすくすることが髪質改善の目的です。
くせ毛を直す髪質改善の方法
原因にもよりますが、くせ毛を直す髪質改善は主に次の3つです。
- 美容院で髪質改善の施術を受ける
- 自宅のセルフケアで髪質を改善する
- 生活習慣を整える
ここからは、それぞれの詳細を解説します。
美容院で髪質改善の施術を受ける
美容院やサロンで提供される施術メニューには次の2つがあります。
- 髪質改善トリートメント
- 縮毛矯正
どちらもくせ毛にアプローチする施術ですが、くせ毛に対する効果が異なります。以下では、それぞれの施術メニューについて詳しく解説します。
髪質改善トリートメントの効果
髪質改善トリートメントは、見た目や手触りを改善する効果が期待できます。通常、髪の毛の内部はタンパク質同士が結合して髪の毛のツヤとハリをキープしていますが、ヘアカラーなどでダメージを受けると、タンパク質同士の結合が破壊されて髪の毛がパサつくようになります。
髪質改善トリートメントは、髪の毛内部のタンパク質の結合を強めるように働きかけ、パサつきの改善や髪の毛の広がりやうねりを直す仕組みです。くせ毛を直毛にすることはできませんが、広がりを落ち着かせて、髪の毛を扱いやすくできます。
以下の項目に当てはまる人は、髪質改善トリートメントが向いているでしょう。
- 髪の毛のボリュームを抑えたい人
- 髪の毛が傷んでいて縮毛矯正を避けたい人
- 髪の毛のくせが弱めの人
特に、ブリーチをはじめとするヘアカラーやパーマなどで髪の毛が傷んだ状態で縮毛矯正をすると、さらに傷みがひどくなると考えられため、髪質改善トリートメントが適しています。
縮毛矯正の効果
縮毛矯正とは、くせ毛を伸ばす施術のひとつです。術後の髪の毛は長期的に真っ直ぐな状態を維持できます。
縮毛矯正には、薬剤の働きとアイロンの熱の働きを使用します。はじめに薬剤を使用して髪の毛の結合を一度断ち切り、アイロンで髪の毛を伸ばした後に再度薬剤を使って髪の毛を結合させ、真っ直ぐな状態を維持する仕組みです。
波状毛や捻転毛など、くせ毛の種類やくせの強さに関わらず、扱いづらい髪の毛を直毛にできるのが縮毛矯正の特徴です。生まれつきくせ毛の人でも、今生えている髪の毛を直毛にできる可能性があります。
以下の項目に当てはまる人は、縮毛矯正が向いています。
- くせ毛のうねりが強い人
- くせ毛を真っ直ぐにしたい人
- 髪の毛があまり傷んでいない人
縮毛矯正は髪の毛に大きな負担がかかる施術です。ヘアカラーやパーマなどで髪の毛が傷んでくせ毛になっている場合、さらに髪の毛を傷めてしまうので縮毛矯正は不向きだと言えます。
自宅のセルフケアで髪質を整える
自宅のセルフケア(ヘアケア)で髪質を改善することはできませんが、髪質を整えることはできます。さらにセルフケアを毎日積み重ねて行うことで、サロンの髪質改善トリートメントの効果を持続させることにもつながります。
自宅でできる主なセルフケアは次の4つです。
- 正しい洗い方でシャンプーする
- シャンプー後はドライヤーで短時間で乾かす
- トリートメントを使用する
- 頭皮マッサージする
ここからは、それぞれの詳細を解説します。
正しい洗い方でシャンプーする
間違った方法でシャンプーをすると、くせ毛を傷めたり頭皮トラブルにつながったりするので十分注意しましょう。シャンプーを使った正しい洗い方は次の通りです。
- お湯で予洗いする
- シャンプー剤を手で泡立てて髪に付ける
- 頭皮マッサージするように揉み込む
- シャンプー剤を残さず洗い流す
まずはお湯で予洗いして髪の毛に付着した余分な汚れを落とします。その後、シャンプー剤がなじみやすくなるよう、シャンプー剤を手で泡立ててから髪に付けます。
髪の毛にシャンプー剤をなじませる際は、指の腹を使って頭皮マッサージするように揉み込むことがポイントです。爪を立てて洗うと髪の毛の傷みにつながる他、頭皮が傷ついて頭皮トラブルの原因になるためです。
また髪の毛へのダメージをなるべく小さくするには、マイルドな洗浄力のシャンプー剤を選ぶといいでしょう。特にアミノ酸シャンプーは、髪に優しい成分「アミノ酸」を多く含んでおり、洗い上がりが優しく、髪質を整えるのに適しています。
シャンプー後はドライヤーで短時間で乾かす
ドライヤーも髪質を整えるために大切なヘアケアです。髪の毛は濡れている時に傷みやすいので、シャンプー後はできる限り短時間で乾かすようにしましょう。お風呂上がりに毎回スキンケアをしている方は、スキンケアを短時間で終わらせ、その後短時間のうちに髪の毛を乾かすようにしてください。
また、ドライヤーの熱でも髪の毛はダメージを受けるので、乾かし方にも気を付ける必要があります。正しい髪の毛の乾かし方は次の通りです。
- ドライヤーの前にタオルドライをする
- 根元から乾かす
あらかじめタオルドライをしっかり行うことで、ドライヤーの熱をあてる時間を短縮できます。
髪の毛の根元は蒸れやすく、乾きにくい場所です。先に毛先から乾かして根元を乾かすと、毛先に余計な温風があたって乾燥を招きやすくなるため、まずは根元から乾かして髪の毛へのダメージを減らしましょう。
トリートメントを使用する
後天的なくせ毛は、トリートメントを使用することで、髪の毛がまとまりやすくなったり絡みを和らげたりすることができます。
一般的にトリートメントはシャンプー後に使用します。シャンプー剤を洗い流したら、髪の毛を手で握って余計な水分を取り除いてからトリートメントを塗布します。その際、コームを使用すると髪の毛にトリートメントが行き届きやすく、洗い流す時はトリートメントを揉み込むようにすると、さらになめらかな手触りになります。
濡れた髪はキューティクルが開いている状態で、トリートメントの成分が流出しやすいので、早めにドライヤーで髪を乾かすようにしましょう。仕上げに冷風をあてると、キューティクルが閉じてツヤのある髪になります。
また、うねりのある髪の毛には、保湿力の高い成分や浸透性の高い油分(アルガニアスピノサ核油など)を含むトリートメントを使うと良いでしょう。そのほか、「ラノリン」や「コレステロール」など、脂質を補って保湿性を上げる成分が含まれているものも適しています。
一方、広がりやごわつきが気になるという人には、重めの質感に導くトリートメントを選ぶと手触りが良くなり、扱いやすい髪の毛に近付きます。商品説明に「しっとり」「なめらか」など記載されているものを選ぶと良いでしょう。
頭皮マッサージする
頭皮マッサージをすると血行が促進されます。直接的にくせ毛を直すことはできませんが、血行が改善されると頭皮や髪の毛に栄養が行き届き、髪の毛の健やかな成長を促すことができます。
頭皮マッサージのポイントは次の通りです。
- 押す・こする・揉む、を組み合わせる
- 指骨を押しながら頭皮を動かす
- 両手のひらで頭をはさみ、押しながら頭皮を動かす
1回1分程度の頭皮マッサージを1日数回に分けて行いましょう。
生活習慣を整える
生活習慣が悪いと髪の毛の健やかな成長が妨げられ、パサつきや広がり、傷みやすさにつながると考えられています。生活習慣を整えることで今生えている髪の毛の髪質を変えるのは難しいですが、これから生えてくる髪の毛の健やかな成長を促す可能性があります。
心がける生活習慣は次の4つです。
- 栄養バランスの整った食生活を送る
- 睡眠時間を十分に取る
- 適度な運動を取り入れる
- 体を冷やさないようにする
ここからは、それぞれの詳細を解説します。
栄養バランスの整った食生活を送る
美しい髪の毛を育てるために、栄養バランスの整った食生活を送ることが大切です。髪の毛の成長に必要とされる栄養素には以下があります。
- タンパク質(アミノ酸)
- ビタミン
- ミネラル(亜鉛など)
- L-システイン
- アスタキサンチン
髪の毛の主成分は「ケラチン」と呼ばれるタンパク質です。タンパク質は数種類のアミノ酸が結合してできる物質で、肉や魚、卵、牛乳などに多く含まれています。
ビタミンはタンパク質を体内に取り込むのをサポートする成分です。人参やかぼちゃなどに含まれる「ビタミンA」は髪の毛を健康に保つのに効果的で、サバやイワシなどに含まれる「ビタミンB6」は、頭皮の新陳代謝を促して健康的な髪の毛を作ります。
その他、細胞を正常に機能させるためには「ミネラル」が必要で、皮膚や髪の毛に多く含まれる「L-システイン」、育毛を促す抗酸化成分「アスタキサンチン」なども大切な栄養素です。
睡眠時間を十分に取る
髪の毛の成長を行う細胞「毛母細胞」の活性化には、睡眠が大きく関係していると考えられています。睡眠中は成長ホルモンが分泌され、細胞分裂が活発になり髪の毛の成長につながります。そのため、健康な髪の毛の維持には睡眠時間を十分に確保することが大切です。個人差はありますが、短くても毎日6時間以上は睡眠を取りましょう。一方で寝不足の状態が続くと、髪の毛の健康維持が難しくなり、ツヤやハリ、コシが減少する可能性があります。
今からできる睡眠の質を上げる方法は次の通りです。
- 毎日決まった時間に睡眠を取る
- 寝る1時間前からブルーライト(スマホやPCなど)を避ける
- 寝る1時間前にお風呂に入っておく
- 寝具にこだわる
睡眠時間を確保すると同時に、睡眠の質を上げることも心がけましょう。
適度な運動を取り入れる
日常生活で適度な運動を取り入れると、体内の血液循環が促進され頭皮環境を整えることが期待できます。
運動不足の人は、血液の循環が滞っていることが原因で新陳代謝の悪化と頭皮環境の悪化を招き、髪の毛のパサつきや広がりにつながる可能性があります。特に運動不足の人は適度な運動を取り入れると、これから生えてくる髪の毛の健康を促せるでしょう。運動はウォーキングやヨガなど、体への負担が比較的少ないものから始めましょう。これらは継続して行うことが大切です。週に1度のペースでも問題ないので、できる限り継続して運動する機会を増やし、体内の血液循環の改善を心がけるようにすると良いでしょう。
体を冷やさないようにする
体が冷えると代謝が悪くなり、頭皮環境を悪化させる可能性があります。特に冬場の寒い時期は体を冷やさないように注意することが大切です。
体を冷やさない対策には以下があります。
- 湯船に浸かる
- 白湯を飲む
- 下っ腹あたりを温める
- 漢方を飲む
湯船に浸かると体温を一時的に上げ、冷えを防止することができます。胃腸が弱く、冬場に冷たいものを飲むとお腹が痛くなりやすいという人は、白湯を飲んで内臓を温めるのもおススメです。
その他、漢方が効きやすい体質の人であれば、冷えの対策につながる漢方薬を処方してもらうのも良いでしょう。
くせ毛をカバーする方法
ここまでくせ毛を改善する方法や髪質を整える方法について紹介しました。しかし、生まれつきのくせ毛を直すのは難しいと言えます。
生まれつきのくせ毛をカバーしたい場合は、以下2つの方法があります。
- くせ毛を活かしたヘアカットにする
- ストレートヘアアイロンを使用する
ここからは、それぞれの詳細を解説します。
くせ毛を活かしたヘアカットにする
美容院でくせ毛を活かすヘアカットにしてもらえば、まとまりにくくてスタイリングがきまらないという悩みを払拭できるでしょう。くせ毛を活かしやすいヘアカットには以下があります。
- トップをふんわりさせるショート
- エアリーなミディアム
- 無造作ミディアム
- パーマ風のロング
- 前髪を伸ばすスタイルのロング
ショートヘアにすると、くせ毛でも扱いやすくなるというメリットがあります。くせ毛でボリュームが出ても、ふんわりさせるなどスタイリング次第でバランスを取れます。
ボブやミディアムの長さの人では、膨らみやすかったり毛先が跳ねたりするなどの悩みを持っている人も多いでしょう。ラフでエアリーな髪型にし、毛先を重心にすれば、くせ毛をおしゃれになじませることができます。
髪の毛が長いと広がりにくく、髪の毛の重さでくせが伸びやすくなります。パーマをかければくせ毛を活かすことができ、パーマをかけなくても前髪を伸ばせば、くせ毛が気になりにくくなります。
ストレートヘアアイロンを使用する
ストレートヘアアイロンを使用することで、くせ毛をカバーすることができます。
ヘアアイロンは、使い方に慣れればアレンジしやすく、自分の好きな仕上がりにくせ毛を伸ばせます。ヘアアイロンを使用する時のポイントには以下があります。
- 乾燥した髪の毛に使用する
- あらかじめヘアブラシで髪の毛をとかしておく
- 力を入れすぎない
濡れたままヘアアイロンを使用すると、髪の毛がひどく傷みやすくなるので注意が必要です。あらかじめヘアブラシで髪の毛を解いておくと引っ掛かりが減り、髪の毛への負担を抑えられます。
しかし、ヘアアイロンは髪の毛を傷めてしまう原因になるため、毎日の使用は推奨できません。頻繁に行った場合、髪のダメージでくせ毛のうねりが強くなることも考えられます。
仕事などで毎日外出しないといけない人や、ヘアセットをする頻度が多い人は、縮毛矯正を検討すると良いでしょう。
くせ毛の髪質改善に関するよくある質問
髪質改善にかかる費用はいくら?
美容院で受ける髪質改善トリートメントの費用は店舗により異なりますが、10,000〜20,000円が相場です。髪の毛の長さやダメージ状態などによって、料金は変動します。
また、髪質改善トリートメントを受けた後の状態を維持するためにも、日々のヘアケアを行うことが大切です。髪質改善の状態維持には、シャンプー代やトリートメント代などがかかります。
髪質改善にはどのくらい期間がかかる?
髪質改善トリートメントの施術時間は1時間半〜2時間が目安です。自宅でのヘアケアのほか、2ヵ月に1回のペースで髪質改善トリートメントを受ければ、髪質を徐々に改善することが期待できます。
なお、自宅のセルフヘアケアのみで髪質を改善することは難しいと言えます。セルフケアのみの場合、既に傷んでしまった毛が伸びてカットされるまで扱いやすいようにする程度のことはできます。
サロンの髪質改善トリートメントの持続期間は?
髪質改善トリートメントの持続期間には個人差があります。
正しくケアを行っていれば、2〜3ヵ月は効果が持続すると言われています。ただし、ヘアケアを怠ったり間違った方法でヘアケアしたりすると、持続期間が短くなり髪質も悪化する可能性があるため注意が必要です。
髪質改善の効果を長期的に持続したい場合は、定期的にサロンや美容院でメンテナンスすると良いでしょう。
まとめ
髪質改善でくせ毛を直すことができますが、くせ毛にはいくつかの原因があり、生まれつきのものや加齢、ホルモンバランスが原因のくせ毛は、髪質改善で直すことは難しいでしょう。
一方、ヘアカラーや紫外線など髪の毛のダメージでくせ毛になっている人は、美容院の髪質改善トリートメントを受けると髪質を整えることができます。生まれつきのくせ毛で見た目をきれいにしたいという人は、縮毛矯正によって直毛に出来る場合があります。
くせ毛の原因や髪質の状態などに合わせて、正しい施術やケアを行うと良いでしょう。